中国に工場を持つ日本の家具店レゴリスをわずか数年で築き上げた葉月蓮介(木村拓哉・SMAP)は冷徹な性格で有名。中国工場で働いていた貧乏娘リュウ・シュウメイ(林志玲=リン・チーリン)を、キャンペーン・モデルに起用しイメージアップを図る。そんなある日、従業員を酷使する中国工場が生産した椅子が破損し、レゴリスは著しく会社の信用を失ってしまう。会社のピンチを心待ちにしていた側近の蔡風見(松田翔太)や、かつて蓮介を育てたライバル会社の社長・大貫(長塚京三)などの策略により、さらに蓮介の状況は悪くなるが…。
日本と中国の微妙な関係を上手く描いていて、企業モノなのにわりと分かりやすいドラマ。たどたどしい日本語で愛を囁いたり、アクションめいた演技で視聴者を惹き付けるシュウメイのリン・チーリン、蓮介への気持ちを抑えてシュウメイと蓮介の仲をとりもつ真絵美を演じる篠原涼子、ワガママ娘に見えて実は賢く優しい柚月を演じる北川景子の、魅力的な3女優を使ったキャラクターのバランスが絶妙。対し、肝心の蓮介を演じる木村拓哉と、ミステリアスな蔡風見を演じる松田翔太がいまいち魅力不足。女優陣に比べて演技が安っぽいの。
意固地でちっとも内面の良さが見えてこないキムタクの蓮介。「CHANGE」の時は絵空事でも「こんな話の分かる総理大臣がいたらいいのに」とか夢が持てたけど、今回のシビアな実業家っぷりにはみじんも共感できないし、人に無理強いばかりする冷徹な成り上がり社長って、昔の○○○モンみたい。そのうち社員に死者が出たり、株価のつり上げで逮捕されたりする展開を想像しちゃうわ。中国工場の長時間労働や、流されやすい日本人の無責任さなど、いままでのキムタクドラマに比べてリアル過ぎるストーリーが、かえってラヴ・ストーリーを曇らせているのかもね。(チャッピー)