だが、ものまね芸自体のクオリティが決して高いわけではなく、ネット上では「そもそも似てないよね」「雰囲気で笑わせているだけ」といった否定的な声が目立つ。何より、りんごちゃんは『今夜くらべてみました』『嵐にしやがれ』『行列のできる法律相談所』など、日本テレビ系の番組中心に出ており、日テレ専属タレントのような扱いになっている。この点も「日テレのゴリ押しがイヤ」といった声が聞こえてくる。
りんごちゃんは普段はニューハーフバーでダンサーとして働いている。いわばパフォーマンスの一つとしてものまねがある。確かに人選や選曲は、「ノリ重視」のカラオケ的なものだ。
さらに、日本テレビは『エンタの神様』に顕著なように、無名の芸人にキャラクターを当てはめて消費して行くスタイルが一種のお家芸といえる。古くはギター侍で知られる波田陽区や、「チクショー」のフレーズでおなじみのコウメ太夫、近年ではブルゾンちえみなどが挙げられるだろう。現在のようにブレークする前のサバンナの高橋茂雄が、謎のロックミュージシャン犬井ヒロシ、スリムクラブの真栄田賢がフランケンシュタイン姿の快物フランチェンを演じていたのも、懐かしい記憶だ。高橋や真栄田はその後、キャラ芸と決別し自力で売れたと言えるが、その他には一瞬で消費され、使い捨てにされていった無数のエンタ芸人がいると言える。りんごちゃんもその系譜にダブって見える。
伊集院光もラジオ番組『深夜の馬鹿力』(TBSラジオ系)において、りんごちゃんの芸に対し、「武田鉄矢のものまねなどは頑張ると何か似るやつ」「『日テレ』が本気出した時のもう売ります感がすごい」とも皮肉っている。伊集院はブルゾンちえみに、「ケミカル(合成)系のにおいがする」と評したことでも知られる。これは視聴者たちの、りんごちゃんに対する違和感とも重なるものだろう。