「ICJは国連機関の1つで、15人の元外交官が判事団を務めますが、日本の提訴に当たっては、’98年のILO(国際労働機関)の報告書を踏襲するはずです。そこで《日本政府は、植民地支配を通じてもたらした損害と苦難について、韓国政府に繰り返し遺憾の意を表明しており、継続して協議を行う》と謳った『村山談話』の存在を知るはずです。となれば’65年の『日韓基本条約』と『日韓請求権協定』は絶対的なものではないと『村山談話』が述べていることに気付き、だからこそ、慰安婦問題については、アジア平和国民基金ができたし、日本政府からの見舞金が出るという展開になったのだと理解するでしょう。そうなると’93、’95年の日本政府の宣言と、現在の日本政府の主張の乖離に気付くわけですから、残念ながら日本有利とは言えませんね」(国際法に詳しい法曹関係者)
実は韓国の元徴用工問題と同様に、中国人の強制連行・強制労働問題(日本の支援者が命名)があり、中国側受難者・遺族およびそれを支える日本側支援者の裁判闘争の結果、’00年の『花岡事件(鹿島建設)』=和解、’09年の『西松建設』=和解、’16年の『三菱マテリアル』=和解が、それぞれ成立している。
韓国徴用工問題については、すでに80年代から日本側支援者は、「日本の朝鮮統治」不法論を踏まえ、周到に準備しており、また中国人強制労働裁判では勝利済みだから、日本の強制連行(従軍慰安婦も)・強制労働は、国連関係機関では揺るがしがたいものになっているのだ。
「2月下旬には、二度目となる米朝首脳会談も計画されています。日本としては韓国との関係がこれ以上悪化すれば、今後は日本抜きで交渉が進み、日本が知らない間に莫大な非核化費用を負担することになるかもしれません。そうならないよう、日本はまた韓国に“謝罪”し、歩み寄らなければならないでしょうね。北朝鮮との国交回復というウルトラCに成功でもすれば、局面はあっという間に変わるでしょうが」(前出・国際ジャーナリスト)
今は牢獄につながれる朴槿恵前大統領は、日本に対して「加害者と被害者(韓国)という立場は、千年すぎても変わらない」と演説した。今、まさにその“予言”がよみがえろうとしている。