search
とじる
トップ > その他 > 日本人の15人に1人がかかる“心の風邪”「うつ病」患者が10年で倍増した理由(1)

日本人の15人に1人がかかる“心の風邪”「うつ病」患者が10年で倍増した理由(1)

 最近、うつ病はずいぶん身近な話題になってきた。うつ病の増加を裏付けるかのように、有名芸能人がテレビ番組や雑誌の中で自らのうつ病体験を告白することも珍しくない。7月に亡くなった竹脇無我(享年67歳)や、うつ病から回復したといわれる高島忠夫(81歳)も、長年にわたるうつ病経験を告白して話題になったことを記憶している人も多いだろう。ワイドショーの名司会者として知られる小川宏さん(85歳)はうつ病を克服したが、うつ病によって自殺寸前まで追い詰められた経験を持つ。

 厚生労働省の調査によれば、わが国のうつ病患者の数は、2008年に100万人を超えた。日本人の15人に1人は、一生に一度はうつ病にかかる可能性がある(有病率)という報告もある。
 特に、中高年にうつ病が多いというわけではない。「うつ病は心の風邪」というフレーズが流布し、薬を飲めば簡単に治る病気であるかのように考えてしまっている人も多いが、知っているようで知らないのが“うつ”という病気である。

 それにしても、うつ病患者が100万人というのは、べらぼうな数字といえる。'99年の調査では約44万人だから、ここ10年で患者が倍増した計算になるわけだ。いったい、世の中では何が起きているのか。
 うつ病が激増した背景にはいくつか理由が考えられるが、一つには、うつ病の診断基準が変更されたことが大きい。世界標準とされるアメリカの診断基準では、うつ病は「気分障害」と病名を変更、うつ病概念そのものが変わった。

 うつ病の主な症状を挙げれば、以下のようになる(アメリカ精神医学会『DSM-IV』の基準による)。
(1)抑うつ気分が続く
(2)何に対しても楽しくなく、興味が持てない
(3)イライラして、落ち着かない
(4)集中できない
(5)自分を責める
(6)自分には価値がないと思う
(7)食欲がない
(8)眠れない
(9)疲れが取れない
(10)死んだ方がよいと思う

 西新宿にて精神科クリニックを開業する精神科医で、日本芸術療法学会理事の富澤治院長はこう説明してくれた。
 「うつに必須の症状は、気分の落ち込み(症状1)と意欲の低下(症状2)です。この症状のどちらか一つを含めた5つ以上の症状が、2週間以上続いて日常生活に支障をきたす場合には、一般的にうつ病と診断されることが多いでしょう」

 なるほど、一定のうつ症状があれば、うつ病と診断することができるようになったのだから、多くなるのも当然の話だ。

その他→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

その他→

もっと見る→

注目タグ