アメリカ司法当局の調査によれば、14年11月に韓国とイングランドの間で密約が交わされており、韓国が18年招致でイングランドに投票する見返りとして、22年招致ではイングランドが韓国に投票する取引がされていたという。両国とも落選しており、結果的には影響がなかったが、なぜかこのニュースは日本ではほとんど報じられていない。
「日本も近い将来、正式にW杯の単独開催に向けて動き出しますが、その前に、女子W杯開催の可能性がかなり高い。そういう状況を考えると、どの国に投票するか決めかねている欧州をあまり刺激したくないし、韓国が敵にまわればアジア各国の協力も得られないので…」(専門誌記者)
日本サッカー協会は、23年の女子W杯開催地に立候補する意向を固めており、近く正式表明する。女子代表の『なでしこジャパン』は、11年のW杯で優勝、今年は準優勝と、2大会連続でファイナルステージに進出した実績があり、海外の心証もいい。だからこそ、揚げ足を取られたくないと思ったのだろう。お隣の韓国を刺激しない“政治的決断”をしたのである。
「男子は30年大会以降、アジアから開催地立候補ができると言われています。それまでには新国立競技場の問題も解消されているでしょうし、時間を掛けて、欧州各国を味方にしておきたいというのが協会の意向でしょう」(同)
英国紙『サンデータイムズ』など、欧州の複数メディアは、「韓国サッカー協会名誉会長の鄭夢準(チョン・モンジュン)氏とイングランドのジェフ・トンプソン氏(当時FIFA副会長)の間で、票を取り交わす密約があったと大々的に報じている。英国紙にすれば、自国サッカーの恥を晒す屈辱的報道でもあったわけだが、あえて表に出したのは、「韓国が裏切ってイングランドに投票しなかった」という米司法局の調査結果があったため。この裏切り行為が英国人の感情を逆撫でしたようだが、こんな声も聞かれた。
「02年の日韓共催大会を思い出してください。当時、韓国は日本に遅れを取っていましたが、欧州連盟幹部に泣きついて日韓共催に漕ぎつけました。イングランドからすれば、そのときの恩があるのに裏切られた、という思いでしょうし、逆に見れば、欧州のサッカー界は日本よりも韓国を重要視しているわけです。日本が単独開催を決めるには強い味方が欲しい」(スポーツ紙記者)
余計な敵を作りたくないために、ほとんど報じられていないようだ。
名指しされた報じられた鄭氏は自身のHPで「事実無根」と反論していたが、FIFAを巡る不正は後を断たない。「W杯招致に不正アリ」とされる現在。日本人の気質も考えると、女子の自国開催にも慎重論が出るかもしれない。