その余裕だろう。「今回はそうそうたるメンバーがそろった。なかでもダービー馬が3代にわたって出走するのは喜ばしいことだね」と清山助手は笑みを浮かべた。
もちろん、ウオッカの状態の良さも余裕を後押ししている。歴史に残る激戦の後にもかかわらずダメージはほとんどなかったという。
「前走後も元気いっぱいで、しっかり乗り込んできた。最終追いは感触を確かめる程度、ソフトでいい」。黒光りする馬体からは周囲を威圧する迫力が漂う。牝馬独特の線の細さは完全に消えうせた。
「燃えやすいところが課題だったんだけど、今は心身ともに成長している。東京ならこの馬の末脚を最大限に生かせるし、何より強い馬しか勝てない天皇賞を強い内容で勝ってきた自信がある。いい結果を出してくれるでしょう」
次々と常識を覆してきた。しかしまだまだ、覆すべき常識は残っている。
【最終追いVTR】1週前に岩田騎手を背に気合をつけただけに、軽めの調教。闘志を表に出すタイプだが、けさは全体にリラックスムードが漂っていた。天皇賞・秋の疲れは見られない。