「この際、長老支配から若手に思い切って切り替えた方がいい」という声も聞かれ始めた。民主党内には、旧経世会(故田中角栄の流れを組む派閥。現・平成研究会、津島派)の主力メンバーがずらり揃っていて、それが民主党を“支配”している。若手は「ここで人心を一新して、党を立て直すべきだ」と、脱長老政治をもくろんでいる。
とくに、地元愛知県の地方首長に立候補を予定している民主党の河村たかしは「若手中心に政党役員を決めるべきだ」と、それとなく反小沢を鮮明にしている。
「ポスト小沢」に動き出した証しだ。今回の事件で小沢は、「秘書(大久保隆規容疑者)が送検され容疑が晴れなかったら、代表はおろか議員も辞める」と側近に話しているそうだ。
ポスト小沢が活発化しておかしくはなく、その候補は若手が中心になっている。
「若手はかつて、小沢支配(旧自民党や自由党、新進党)を受けてない。動きやすいのは確かだ。鳩山由紀夫幹事長、岡田克也副会長、前原誠司、川端達夫、石井一らは、小沢にまともにモノ申すことのできない人たちだけに、小沢と袖(たもと)を分かって云々(うんぬん)は『少し成り行きを見定めて』ということのようだ」(民主党元議員)
ただし、同じ代表代行の菅直人や輿石東は出身母体がちょっと違うだけに、ポスト小沢の先頭に立てるとあって、別行動を取り始めつつある。
これまでは地方に行くと「国民の生活が第一」のコピーで、小沢と候補予定者の組みポスターが目立っていた。ところが、今回の小沢の事件以来、ポスターを替える、それこそ小沢外しが当たり前になりつつある。
小沢との組みポスターでアピールしようとしてきた若手や、これまで小沢の庇護の下で当選してきた議員はハタと困っている。
「小沢の名を使ってイメージを悪くするより、候補の個人ポスターでアピールした方がはるかにいい、と考える若手が目立ち始めた。中には気の合う連中で政策集団とかグループとかを結成して、次の選挙に臨む動きが民主党内に出てきている」(前出・民主党元議員)
一方の自民党も、二階俊博経済産業相の閣僚経験者が西松建設からのパーティー券など資金提供で事情聴取され、近日中の捜査があり得るという。
政治とカネの問題は、衆院の解散含みもあり、一気に加速しそうだ。
国民には定額給付金が配られ始めた。「小沢は辞めるべき」「どっちでもいい」と、それこそ国民にとっては、小沢ではないけれど「生活が第一」になってきているのは、皮肉な話である。(文中敬称略)