一昨年、昨年の最優秀ダートホースが2頭とも不在。早くも大混戦の様相を呈している2007年最初のGIだが、この難解な局面に断を下そうとしているのが名門・森厩舎だ。ダイヤ&ベストの”Wシーキング”に、伏兵・トーセンシャナオーの3頭出しで大攻勢をかける。
まずトップバッターはシーキングザベスト。確かに実績上はシーキングザダイヤかもしれないが、ダイヤはGIでの銀メダル9個。依然、勝ち切れない状態が続いている。その同僚より、徐々に陣営の評価が上がり始めているのがベストだ。
前走の根岸Sは1カ月半ぶりのレース。「本番を控えていたので、若干重めだった」(清水助手)とまさしく”TR仕様”で臨んだ一戦はビッググラスの0秒2差2着と、きっちり先につながるレースを披露した。
「負けたといっても、最後は出し抜けを食らった感じ。力で負けたレースじゃなかったからね。おなかの辺りがゆったりしていたから、その分、反応が鈍かったのかな。とにかく、前哨戦としてはOKでしょう」
中間も順調な調整が進められており、「上積みは十分。型通りに良くなっています」と清水助手。武蔵野S以来のマイル戦に関しては「今なら、この条件はダイヤよりこっちじゃないかな」と胸を張った。GIは初挑戦ながら、ダート全成績は<8701>と準パーフェクト。ここも大崩れはまずないはずだ。
続いて、やや評価の落ちはじめたシーキングザダイヤだが、歯がゆいレースぶりは別にして、いつGIウイナーに輝いても不思議はない素材だ。前走の東京大賞典(3着)は”定位置”より着順をひとつ落としたものの、「暮れはちょっと体調が落ちていたからね」と陣営に悲観の色はない。
「ひと息入った分、ちょっと張りがない感じもするが、東京大賞典のときよりは間違いなくいい。何とかしないと世代交代の波がやってくるし、早く結果を出してほしいね」
今後は「ドバイを視野に入れていく」ということだが、その前に自国のGIを獲ってハクをつけたいところだろう。
実績では前記2頭にはちょっと劣るかもしれないが、トーセンシャナオーも意外性という意味で軽視は禁物だ。
「馬は華奢(きゃしゃ)だが、ダートが走れないわけではない」。条件がわりに未知の魅力を残しており、事実、初勝利を挙げたのもダートだった。芝とはいえ、昨秋のセントライト記念では12番人気の低評価をあざ笑うかのような快勝劇。典型的な一発屋だけに、不気味な存在だ。
2001年の同レースを制したノボトゥルー以来、遠ざかっている中央のGI。西の名門・森厩舎がケン土重来に虎視たんたんだ。