本舞台は、「劇団鹿殺し」の脚本家・俳優である丸尾丸一郎の、小説家デビューとなった自伝的小説『さよなら鹿ハウス』(ポプラ社 刊)を舞台化した作品。丸尾といえば、秋元康プロデュース「劇団4ドル50セント」の脚本・演出、『マジムリ学園』(日本テレビ)『崖っぷちの淵子』(NHK)などの脚本家としても活躍している。
本作の主演を務めるのは、大河ドラマ『西郷どん』(NHK)や『ふるカフェ系 ハルさんの休日』(Eテレ)での好演で人気急上昇中の、渡部豪太。丸尾自身がモデルとなっている、角田角一郎を演じる。
物語は2005年から2007年、丸尾が実際に過ごした東久留米での2年間がベース。「劇団鹿」の7人は関西から上京し、東久留米市の1軒屋・通称「鹿ハウス」で共同生活を始める。「2年間はがむしゃらに頑張る」という約束の元、バイト禁止、関係者との恋愛禁止という、純粋に“パフォーマンス”のみで生計を立てる生活を送る。2年間で「伝説となる」ために、7人がどういう日々を過ごしたか。丸尾が当時の劇団員と体験したかけがえのない2年間を、歌ありダンスあり笑いありの迫力のステージで魅せる、青春群像劇である。
囲み取材には、主演の渡部、作・演出の丸尾が参加した。本作では、歌やダンスを披露する他にも、鍛え上げられた肉体美を披露する渡部。そのための体作りについて聞かれると、「実際に劇団鹿殺しさんがなさっている筋トレがあるんですけど、ほんとにつらい筋トレを20分丸々やって、これを『あと3セットやります』と言われた時には死ぬかと思いました。嘘でしょ軍隊じゃん、と思いました(笑)」と、かなり過酷だったことを振り返った。作品内では、そんな渡部の“理想のボディ”を間近で感じられる演出もあり、ファンならずとも必見である。
また、今年は大河ドラマでも活躍した渡部。「『西郷どん』では、1年以上かけて一つの役を演じることを学び、自分が出ていない場面でも役のことを考えていました。今回の『さよなら鹿ハウス』でも、描かれてない部分も想像して役に反映させる、というのを(『西郷どん』で学んだことが)活かされたと思います」と、自身の成長を語った。
今回演じている役柄、20歳の頃を思い出すと「記憶があまりなくて、断片的でつながらない」という渡部。がむしゃらに走った青春時代を重ね合わせているところもあるようだ。本作について、「同じ日本という国の同じ世界の中で、本気でこんなことをしていた7人がいるということを目撃してもらいたい」と意気込みを語った。また、丸尾は「生きてるうちで、どうでもいいことで悩みすぎている方が多いと思うので、その中で大切なものだけを選んで、それだけを大切に生きていく、ということを少しでも気付いてもらえたりとか、“仲間たちと走る”という時期って一生においてそんなにないと思うので、その時間の大切さに気付いてもらえると思います」と、本作の見どころを語った。
『さよなら鹿ハウス』の東京公演は11月8日〜11月18日<座・高円寺>にて、大阪公演は11月22日〜11月25日<HEP HALL>にて上演される。「劇団鹿殺し」のメンバーの他、元Berryz工房のキャプテン・清水佐紀、元アイドリング!!!29号の玉川来夢も出演する。