A:心筋梗塞も脳梗塞も循環器系の重大な病気であり、発症の要因もほぼ共通しています。つまり、高血圧、動脈硬化、ストレス、喫煙、脂肪の多い食事、肥満などです。不整脈や心不全などは特に、無理を重ねて頑張り続けたストレスが強く影響している場合が多いように思えます。
ご質問の方たちは皆さん、これまで頑張って生きてこられそして今、退職の年齢にさしかかろうとしています。疲労も蓄積しているし、飲酒や喫煙の習慣がある人では、そのダメージもあるでしょう。
以上のようなことが積み重なって、慢性の不整脈や心不全、心筋梗塞などの心疾患や脳梗塞を引き起こすものと思われます。
心疾患や脳梗塞の予防は、心身ともに無理をしないことが基本です。もう、無理や無茶ができる年齢ではありません。そのことをしっかりと自覚しましょう。
●予防的に漢方薬を利用
喫煙は心臓の病気や脳梗塞の主たる原因ではありません。しかし、血管を収縮させ、動脈硬化を促進する一因となります。心疾患や脳梗塞の直接的な引き金となることもあります。
また、飲酒は喫煙とは違い、少量なら健康によい作用をします。しかし、飲み過ぎると脱水しやすく、それが心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす要因となります。
60歳近くなった今も喫煙、飲酒を続けているなら、その履歴は、ざっと40年でしょうか。
もう十分嗜んだはずですから、そろそろお酒の量を減らしてもよいのではないでしょうか。一方、喫煙については、きっぱりと禁煙するようお勧めします。
そのように生活改善を図った上で、漢方薬を服用すると良いでしょう。心筋梗塞や脳梗塞を起こした際の救急治療は、現代医学が威力を発揮します。一方、再発の予防には漢方薬が効果的です。
漢方には、活血薬というくくりの一群の薬があります。これは血流をよくする漢方薬で、血流がよくなると血栓も出血も起こりにくいと漢方では考えます。
活血薬はいろいろありますが、心疾患や脳梗塞の再発予防に特に効果が期待できるものに「冠元顆粒」があります。これと同じ処方のものが、他の製薬会社から「生薬製剤II号方」の名前で発売されています。
これらを予防的に使用するのもよい方法ですが、二つとも健康保険適用の薬ではありません。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。