開発テーマは「ジキルとハイド」。あるときはエキサイティングな走りを、またあるときはお気に入りの音楽を聴きながらクルージングを…と2面性を持たせたのが最大の特徴だ。
商品企画担当の井上真一さん(41)は「主軸となるターゲットは40代後半。仕事を終えた後、1時間でもいいからバイクでフラッと流して、精神を開放する時間を持ってほしいと思ったんです。その発想が、ヤマハのバイクにヤマハのオーディオというありそうでなかったコラボに結びつきました」と話す。
全長2535mm、全幅850mm、全高1010mmと低く細長い車体に、ヤマハの専用オーディオシステムを搭載している。ライダーのヘルメット内にビーム化した音楽を送信。不快な風切り音を低減し、理想的な音響効果が得られるという。さまざまな音楽プレーヤーと接続できるため、お気に入りの音楽を心ゆくまで味わいながらクルージングできるというわけだ。
コンソール部分にはギター用の木材を使うなど細部にこだわったほか、12個の小さなスピーカーを埋め込んでいる。リラックスさせる仕掛けは音楽ばかりでなく、自動車のように両足を前に投げ出せるからいい。なるべく楽な姿勢で運転できるよう、シートの背もたれは深く設定されている。
性能面は環境にやさしいハイブリッド仕様。燃費がいいばかりでなく、低回転時に加速をフォローするモーターが、巡航時には発電機に切り替わってバッテリーを充電する。エネルギーを無駄なく使う工夫が凝らされている。
「デザイン的にはぼくの二輪車のイメージは魚なんです。ラクシアは魚をペタンと横に倒して平べったくした感じ。オープンカーを半分に切ったらどうなるだろう?と考えたのが始まりでした」と井上さんは振り返る。
市販化の際には「私が買えるぐらいには価格を抑えたい。そこは努力しますよ」(井上さん)と約束してくれた。