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読売vs中日 落合GM強奪で新聞代理戦争が勃発か

 暮れも押し迫った12月20日、中日ドラゴンズは落合博満ゼネラルマネージャー(63、以下GM)が契約満了により今年1月末で退任すると発表した。白井文吾オーナー(中日新聞社会長)は「1年前から決めていたこと」とコメント。球団役員会でも反対する声はなく、球団の他の役職などには就かないものの、契約満了に伴う円満退団を強調した。
 「落合氏は、'04年に中日監督に就任すると、“オレ流”と呼ばれる独自の策を武器に8年間でリーグ優勝4回、日本一1回に導きました。GMとなった'14年以降のチーム成績は4、5、6位と振るいませんでしたが、コストカッターとして剛腕を示し、初年度に8億円もの選手人件費を削減。翌年オフには大量15人を引退、戦力外に追い込むなど、白井オーナーの信頼は揺るぎないものになっていました」(スポーツ紙記者)

 優勝争いの常連になることで、チーム総年俸は肥大化。年間20億円近い赤字を出し続けていた中日ドラゴンズだったが、今度は落合氏がGMに就任することで財政状況が好転。親会社のトップでもある白井オーナーにすれば手放したくない懐刀だったはずだが、昨年8月、チーム低迷の責任を谷繁元信監督になすりつける形で休養させたことが命取りになったようだ。
 「ファンが現場、フロントの喧嘩両成敗を望んだにもかかわらず、監督代行に腹心の森繁和ヘッドを起用したことで落合バッシングが一気に沸騰。球団には『オーナーや落合GMが球団を去らなければ、生命を脅かす』といった旨の脅迫文が届き、球団は愛知県警に被害届を提出していました」(同)

 この脅迫文の件は犯人特定に至っておらず、白井オーナーにすれば泣いて馬謖を斬るしかなかったのだろう。「やむにやまれぬ事情があった」と振り返った。
 「しかし、脅迫文以上に中日新聞社首脳を悩ませたのが、新聞の不買運動です。中日は読売新聞とは対照的に、朝日新聞とともに安倍政権に批判的。大手自動車会社のお膝元だけに、労組関係者の読者も多く、論調が民進党に近い。そういったリベラルな読者に支えられているだけに、経営陣に媚を売るように映った落合GMには批判的だったのです」(地元テレビ局幹部)

 もっとも中日の球団首脳にすれば、ファンの落合氏離れは織り込み済み。「ここまで嫌われて声を掛ける球団はない」と高を括って幕引きを図ったフシがある。
 これに対し、「ハイ、そうですか」と淡々と応じた落合氏だが、ところがどっこい、そこには“オレ流”のしたたかな計算が秘められていたのだ。1月末の契約満了を待って、「巨人-落合」の大連合――。
 「今季の巨人に必要なのが、優勝を逃した場合の“クビ切られ役”。30億円かけて巨額補強した手前、優勝を逃せば高橋由伸監督の責任問題に発展するのは避けられない。こういった場合、巨人には須藤豊氏、近藤昭仁氏といった外様のヘッドコーチの首をすげ替えることでファンの目先をかわしてきた“伝統”がある」(巨人OBの野球解説者)

 今の村田真一ヘッドは生え抜きだが、高橋監督がその人柄を買って抜擢しただけに、その首を差し出すわけにはいかない。そこで白羽の矢を立てられたのが落合氏だという。
 「『助監督』で迎えれば、十分メンツが立つ。何より、落合氏には中日を解雇された怨念があり、古巣でもある巨人で復活するのは望むところ。双方の思惑が合致したため、中日との契約満了を待って、大連合を組むことになります」(同)

 渡邉恒雄前オーナー(読売新聞グループ本社会長)は、落合シンパで知られる。'12年8月にテリー伊藤のラジオ番組に出演した際、落合氏が巨人監督に就任する可能性について「ジャイアンツの監督というのは、生え抜きでなければならないという過去のしきたりがあるから、それを犯すわけにはいかない」と否定的な見解を示したものの、「(GMで)中日をあれだけ強くしたし、軍師としての采配力はやっぱり一番じゃないですか」と絶賛していた。

 その落合氏に、巨人が期待するポイントは三つある。
 まず“軍師”としてベンチ入りし、高橋監督を優勝に導くことだ。優勝経験が豊富な落合氏には、大物FA選手や外国人選手を使いこなすノウハウがある。
 二つ目が、先にも書いた“クビ切られ役”。その後、フロント入りし、例外なきリストラを敢行することも含まれている。巨人には、同じポジションに高給選手がダブついており、外国人選手の増加で選手数の削減は急務のはずだ。

 そして、三つ目は…。
 「落合氏は中日GM時代、社会人や大学野球の現場に他球団のフロント首脳以上に頻繁に足を運んでおり、アマ野球の実情に詳しい。資金豊富な巨人なら、三軍制のもとで、広島カープのように好素材を育て上げることができる。これが、功成り名遂げた落合氏の最後の希望と聞いている」(落合氏と親しい球界関係者)

 至宝・松井秀喜氏を監督に迎えるための環境整備という構図も透けて見える。“新聞代理戦争”は避けられそうにない。

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