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老害!? キャノン、ソニー囁かれるトップ人事の怪(1)

 日本を代表する多国籍企業、ソニーとキヤノンのトップ人事を巡って、舞台裏では「なぜだ」の声が漏れ伝わっている。
 ソニーの社長を兼務していたハワード・ストリンガー会長兼CEO(69)は4月1日付で平井一夫副社長(51)に社長兼CEOポストを譲渡して会長専任となり、6月の株主総会後に会長から外れて取締役会議長に就く(会長ポストは空席)。平井次期社長はストリンガー会長の“意中の人”だったことから「業績悪化で解任されて当然のストリンガーが、子分のお目付け役になって院政を敷くとは何事か」と、多くのソニー関係者が口をそろえる。

 キヤノンでは御手洗冨士夫会長兼CEO(76)が3月29日付で社長を兼務、6年前に就任した内田恒二社長(70)は相談役に退く。御手洗会長は2年前に経団連会長を退いたばかり。その功成り名を遂げた大物財界人が人事の若返りに逆行、CEO会長では不服とばかり後輩社長を排除して後釜に座るとあっては、もうサプライズだ。経済記者が苦笑する。
 「2人の会長とも本来ならば隠居の身です。それが権力の座に欲を張り、往生際の悪さを見せ付けているのだから、老害とか元老支配とは良くぞ言ったもの。社員や株主にとって、これほど迷惑な話はありません」

 まずはソニー。69歳から51歳への政権交代は一見新鮮だが、平井氏は音楽畑出身でソニーの中核を成すエレクトロニクス部門の経験がない。米国の勤務時代に、英語が堪能だったことから映画畑出身のストリンガーに見込まれ、その後異例の大出世を遂げた。この映画・音楽コンビが実権を握れば、ソニーは“脱エレキ”に舵を切るとまで言われたものである。
 この3月期、ソニーは従来予想を大きく上回る2200億円の連結最終損益になる見通しと発表。4期連続の赤字垂れ流しとなるその元凶は、8期連続のマイナスが避けられないテレビ事業だ。従って平井社長の後見人として目を光らせるストリンガー“取締役会議長”の下、ソニーがテレビに代表される本家本元のエレキ事業から撤退しないとも限らない。それにしても業績悪化による解任説がささやかれたストリンガー氏が会社に踏みとどまれたのはなぜなのか。
 「彼は去年の秋頃からソニーの大物OBに次々と接触し、自らの進退を相談した。彼を排除したいOBは『待ってました』とばかりに引きずり下ろしを画策したのですが、彼の真意は平井社長の成長を見届けるため、しばらくはCEO会長にとどまること。しかし、ここまで業績が悪化した以上、経営責任は免れない。そこで内部の暗闘をオブラートに包む必要性から経営を監視する取締役会議長に就くことで“手打ち”した。ストリンガー体制を苦々しく思っていた有力OBも、目障りな男が第一線からリタイアするからには矛を収めざるを得なかったのです」(ソニー関係者)

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