昨秋は勝ち星に恵まれず不振にあえいでいたが、今年初戦の大阪杯を快勝。瀬戸口師の定年→厩舎解散に伴っての転厩初戦という厳しい状況のなか、見事に復活の狼煙(のろし)を上げたメイショウサムソン。
「残り3Fでも、タレる(ズブさを見せる)ことはなかったし、併せてからはこの馬の持ち味をうまく発揮してくれた。手探り状態ではあったが、とりあえずホッとしたね」
大役を引き継いだ高橋成師は安どの表情とともに、“次”につながる勝利だったとも解説する。
「あのペースに折り合えたのも良かった。鞍上も話していたが、大阪杯は折り合いにポイントを置いていたから」
前半1000m通過は62秒2。これまで掛かり癖のあったサムソンだが、この超スローペースにきっちり折り合って見せたあたり、精神面での成長をうかがわせた。過去10年を振り返っても、天皇賞・春でこの62秒2よりペースが遅かったのは3度のみ。本番でのスムーズなレース運びにメドを立てたことは、大きな収穫となった。
また、前走の勝利で陣営に調整面の自信がついたのも大きなプラス。中間もしごく順調にトレーニングを積んでおり、1週前追い切りではDWコースで6F80秒8→64秒9→51秒7→38秒4→12秒4を計時した。師は「併せた相手があまり動かなかったなぁ」と不満を漏らしたが、サムソン自身は迫力満点のフットワークで好調をアピール。無論、その併走馬には楽々と先着を果たしている。
師は「まあ、今回はさらに距離が長くなるわけだから、あまりハードに追って時計を出す必要はないから」と気を取り直すと、「(ケイコは)やればやるほど食欲がおう盛になるのは心強いね。脚元にも心配のない馬だし、非常に調整がしやすい」と仕上がりに自信を見せた。
ここまでは思惑通りの臨戦過程。師の顔にも自然と笑みがこぼれる。
「前走だってこの馬のいいところが見られたが、もちろん、あれが最高のパフォーマンスではない。目標にしてきたレースだし、何とかいい結果を出してほしいね」
あの2000年の年度代表馬テイエムオペラオーも、4歳から大ブレークを果たしたのは記憶に新しいところ。父オペラハウスから受け継ぐ晩生の血が爆発するのはこれからだ。皐月賞、ダービーの2冠ですら“サムソン伝説”の序章に過ぎなかったことが、レース後に明らかになるだろう。