ダービー馬の意地がある。桜花賞、秋華賞とダイワスカーレットに連敗しているウオッカが、今度こその思いをこめて抜群の仕上がりを見せている。
「前走を使ってトモの張りが良くなってきた。イレ込むこともないし、中間は落ち着いていますね」と村山助手はうなずいた。
その秋華賞は3着。後方待機から猛然と追い上げたが、積極策から上がり3F33秒9を使われたスカーレットを捉え切れなかった。
敗因はふたつある。まずは仕上がりだ。宝塚記念の後はフランス凱旋門賞挑戦を表明。しかし、蹄球炎を発症してしまい断念せざるを得なかった。その後の調整に狂いはなかったとはいえ、休み明けでGIに挑まなくてはならない不利は否めなかった。
その点、今回は理想的な中3週。「ダービーの後はガクンと疲れが出たけど、前走後は順調そのもの。幼さが抜け、精神面でもどっしりしている」と上積みは小さくない。
もうひとつはコースがわり。秋華賞と同じ京都とはいえ、今回は外回りで直線が長い。「この馬の末脚を存分に発揮できる」と前を行くスカーレットを差し切る手応えをつかんでいる。
ダービーで男馬を撃破した破壊力。それをフルに発揮すれば、逆転の目は十分にある。
【最終追いVTR】いつものように角居流の3頭併せ。前に2頭を置いて後方からじっくり追走したが、折り合いもピタリとついてスムーズな走り。牝馬の直前らしく直線に入ってからも四位騎手の手綱は抑えられたままで5F66秒1、上がり3F38秒2→12秒0をマークした。併走遅れでのゴールとなったが、全体的に軽快さの目立つ動きだった。
(写真(上)=鞍上・四位の手綱は抑えられたまま。直前は「静」に徹したウオッカだが、軽快な動きはひと際目立った=7日、栗東トレセン)
(写真(下)=角居勢の2騎ディアデラノビア(左)、ウオッカ(右)は例によって3頭併せで追われ、臨戦態勢を整えた=7日、栗東トレセン)