約30年前、「原野商法」なる悪質不動産商法が流行った。「この土地は将来値上がりする」と裕福な資産家などを狙って地方の原野を売りつけ、あとはドロン。土地は値上がりすることもなく、大金を支払った購入者は警察や役所に駆け込んだ。その被害者が、再びターゲットになっているのだ。
「当時の被害者は今やほとんどが70歳以上。そのような土地をいつまで持っていても仕方がなく、できれば処分したい。そんな、過去に原野商法に引っ掛かった人物に目を付けた業者が名簿を回し合い、言葉巧みに話を持ちかけるのです」(社会部記者)
原野商法の二次被害というわけだが、「隣接する土地所有者が作った組合から管理を任され道路を整備した」などと言われれば、それを信じて任せてしまう。
「結果、工事費などを請求されることもある。確かに考えてみれば、息子を名乗る男から『電車の網棚に会社のカネを置き忘れたから貸して欲しい』などと言われる詐欺よりも、こちらの方が遥かに信ぴょう性がありますからね」(同)
国民生活センターには、こんな相談が寄せられているという。
「業者から世帯主へ、40年ほど前に購入した山林を買い取るという電話があり、その代わりに別の山林を購入するよう勧められる。『この土地は将来、太陽光発電の会社が買い取るはず』と言われるのです。世帯主はそれを信じ代金を支払うが、新たな土地は高くて結局は持ち出しになってしまう。これも後の祭りとなるいい例です」
被害者の会の集まりに紛れ込み、新たな詐欺話を持ちかけられる例もあるというから何とも悪質だ。
「一度騙された人はどこかで取り返そうと思っているだけに、コロッと乗っかってしまう。しかも億単位の資産を持つ人は数百万の損害では騒ぎ立てないため、詐欺師にとってもやりやすいんです」(ジャーナリスト・窪田順生氏)
まだまだ被害は出そうだ。