CLOSE
トップ > スポーツ > 阪神が断行するFA涌井、中田翔、助っ人の大補強

阪神が断行するFA涌井、中田翔、助っ人の大補強

 清宮幸太郎(早稲田実業)の交渉権を獲得できなかったツケは、やはり大きい? 先に公言した「補強は最小限」なる言葉のもと、トラは千葉ロッテ・涌井秀章(31)と北海道日本ハム・中田翔(28)の獲得を目指す。

 「清宮で決めている」と明言してきた阪神だったが、本番のドラフト会議では、3度目の入札でようやく1位指名選手が決定。会議後、金本知憲監督(49)は3人の社会人・大学生投手を指名できたことに一定の評価をしたが、本心は違う。今オフの補強ポイントは『4番・一塁』だったのだ。
 「阪神の補強は『ドラフト待ち』でした。清宮が獲得できれば、育成の名目で1年目からある程度は実戦で使うつもりでした。将来の4番候補なので、打てなくてもファンは許してくれたはずです」(球界関係者)

 清宮だけでなく、お膝元である履正社・安田尚憲の抽選にも外れると、阪神は即戦力投手の指名に切り換えた。この戦略も予定通り。1位の馬場皐輔(仙台大)、2位・高橋遥人(亜大)、5位・谷川昌希(九州三菱自動車)は他球団も高く評価していた逸材だ。しかし、本当に補強しなければならなかったのは先発タイプで、ある野球ジャーナリストによると「馬場、谷川は完全な救援タイプ」と見られていた。
 「それでも、金本監督、編成部は『全部を1回のドラフトで補えるはずもない』とし、今年の指名に及第点を出しています。ドラフトが投手中心なら、バッターは外部から補強する二段構えでしたから」(同)

 こうして中田の獲得論が再浮上した。理由は清宮を射止められなかっただけではない。最重要の補強ポイントである「4番・一塁」で、確実な計算が立つのは中田だけなのだ。
 「目下、中日のアレックス・ゲレーロ、韓国・ハンファのウィリン・ロザリオ、米ドジャースのロブ・セゲディンなどの調査も進めています。ゲレーロは年俸5億円、複数年契約を譲らず、ロザリオの獲得にも3億円以上が必要です」(在阪記者)

 近年、「高くても1億円前後」という新助っ人獲得の基準はあるにはある。しかも、カネもある。だが、「神のお告げ」を理由に勝手に帰国してしまったグリーンウェル('96年)が3億5000万円で、それがトラウマになっているという。他球団もそうだが、「高額助っ人=ワガママ」と身構えてしまうのだ。
 「どれだけ掛かるかではなく、どれだけ打ってくれるかを考えるべき」(関係者)

 5億円のゲレーロは論外として、韓国球界で2年連続30本塁打以上を打ったロザリオを本気で口説く覚悟もあるようだが、韓国と日本ではそもそも投手の力量が違う。
 ロザリオは'11年、ロッキーズでデビュー。MLB5年で通算71本塁打という実績を持つが、不安要素は尽きない。それで、2億8000万円の中田が“割安”にも見えてきたわけだ。
 「中田は今季、打率2割1分台に沈みましたが、侍ジャパンの4番を託されるなど、実績は十分。日ハムは費用対効果で放出トレードするなんて情報もあるし、中田も意地っ張り。FA宣言しても、買い手は付かないと分かっていても、『(他球団の)話を聞いてみたい』なんて言い方をするのはそのためです。阪神も3年以内に自前の大砲を育てるといえば、中田獲得をファンも我慢するでしょう。金本監督が一番悩むのは、来季41歳の福留孝介と37歳の糸井嘉男に頼りきった現状です」(同)

 一方、「ダメもと」で、調査を続けているのが、先発も中継ぎもできる埼玉西武の牧田和久。国内FA権を取得したが、本人はメジャー挑戦の気持ちを強く持っている。同じく、日ハム・増井浩俊は今季、栗山英樹監督に志願してクローザーに戻してもらったが、昨年は先発で2ケタ勝利を挙げている好投手。交渉で「先発をやってくれ」と言われれば、どうか。
 そこで、「可能性はまだ高い」と、チェックが始まったのが涌井だ。
 「涌井をロッテに呼んだ伊東勤監督が退任し、球団幹部からは『(FAは)本人の権利だ』なんて言われたら、『出ていけ』と受け取るのが普通です。残念ながら、涌井の海外での評価は高くない。20代半ばまではメジャー志向を匂わせていましたが、結婚し、海外でキツイ思いをしながらやるんだったら、勝手知ったる国内でと考えるでしょう。涌井は残留も視野に入れ、悩んでいます」(ベテラン記者)

 中田もそうだが、涌井獲得となれば、人的補償で“身を切る覚悟”もしなければならない。昨年、糸井獲得の代償で鳥谷敬流出が囁かれた事は忘れていないはず。
 だが、優勝するには補強は欠かせない。生え抜きである大和がFA退団に傾きつつあるのも気になる。
 清宮の指名に成功していれば、確実に「補強は最小限」で済んだ。逸材を逃したダメージは計り知れない。

スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ