ダイワスカーレット(牝4歳、栗東・松田国厩舎)は今春の大阪杯でエイシンデピュティ以下、並居る牡馬陣を一蹴しながらも、その後、左前管骨外側骨瘤を発症して、休養を余儀なくされた。
夏場は宮城県の山元トレセンで鋭気を養い、栗東には5日に帰厩。これから下地をつくって徐々に調教のピッチを上げていく予定だ。
「大阪杯が厳しいレースだったから、その反動が出たんでしょうが、左前の骨瘤の方は見るたびに小さくなっているし、今はまったく気にならないですよ」と順調な回復ぶりに松田国師は目を細める。
もちろん、競走馬が最も充実するといわれる4歳の秋。闘病生活の中でもスカーレットは日増しに成長を遂げていった。「基礎体温の変動もないし、相当に強いケイコにも耐えられる体と精神力が備わったと思う」
今季は「エリザベス女王杯」(GI 京都芝2200m 11月16日)から「有馬記念」(GI 中山芝2500m 12月28日)を予定している。
一方、永遠のライバル・ウオッカ(牝4歳、栗東・角居厩舎)は、夏場は放牧には出されず、自厩舎でじっくりと調整されてきた。
今季は「毎日王冠」(GII 東京芝1800m 10月12日)から「天皇賞・秋」(GI 東京芝2000m 11月2日)に向かい、その結果次第で「ジャパンC」(GI 東京芝2400m 11月30日)を視野に入れている。
「間隔が詰まっていた春はよく頑張ってくれた。この夏は気持ちを上げすぎないように坂路で細心の注意を払って調整してきました」と前川助手。「去年に比べて体もしっかりしてきたし、この秋もどんなパフォーマンスを見せてくれるか本当に楽しみ」と始動レースが待ち遠しい様子だった。
昨年の有馬記念を最後に、おあずけとなっている女王対決。この間、スカーレットは大阪杯でメイショウサムソン、エイシンデピュティを下せば、ウオッカも安田記念で牡馬を一蹴し、完全復活を遂げている。
両馬ともに予定通りのレースを選択すると、最短でも対決は有馬記念まで持ち越しとなるが、スカーレットは一部の関係者から毎日王冠か、天皇賞・秋で復帰との話も浮上している。スカーレットの仕上がりいかんによっては、次開催の東京で早くも女同士の“ビッグマッチ”が実現するかもしれない。