「正直、ここ2走は力負けというより、カネヒキリのルメールに百二十点の乗り方をされてしまった。半面、こちらはJCダートで岩田君が大きな不利を受けたし、前走で乗ってくれた武豊さんは骨折明けでまだ本調子じゃなかった。そのあたりが大きかった」
馬の能力では、一歩も劣っていない。乗り方ひとつで逆転の目は十分ある。「今度は豊さんもひと味違うでしょう。豪快さと大胆さが戻ってきましたからね」
京都牝馬S、共同通信杯、そして先週のきさらぎ賞と3週連続重賞Vの天才に期待を寄せた。
もちろん、馬の仕上げに抜かりはない。昨年はこのレースをステップにドバイワールドカップを見据えていたが、今年はここに全精力を傾けている。カネヒキリが圧勝した川崎記念もあえてスキップ。東京大賞典の後はここ一本に的を絞ってきた。
「カネヒキリよりローテーションにゆとりを持たせてきた。その分、デキはいい。ドバイのことも考えなくていいんだから。目いっぱいの仕上げができた」。11日の1週前追い切りも栗東坂路で800メートル54秒7、ラスト1F13秒7。併せ馬で遅れはしたが、ケイコ駆けしないタイプにしては上々の動きだった。
18日に予定されていた最終追い切りは、「右肩の出が少しぎこちない」(石坂調教師)ため、1日延ばす誤算こそあったものの、陣営が細心の注意を払っただけで、馬場入りは予定通りに行った。
「東京は決してベストの舞台とはいえないけど、昨年は勝たせてもらっているし、何とかカネヒキリに勝ちたい。結果を出したい」
砂の王者の座を奪還してみせる。その思いの強さは誰にも負けない。
【最終追いVTR】アロンダイト(オープン)を1馬身後方から追走した。中間地点を過ぎてから追出されたが、なかなか差が詰められず、ゴール前で何とか併入に持ち込むのがやっと。昨日は追い切りを取りやめる誤算があっただけに、ビッシリやれたことは評価できるが、ラスト1Fが14秒0とかかったあたり、不安はぬぐいされない。