衝撃的な末脚だった。前走のマーチS。最後方に構えて、3角から一気の進出。ナナヨーヒマワリは見事な切れ味で重賞初制覇を飾った。
先行馬が圧倒的に有利な中山のダ1800m。そこで見せた追い込みは決してフロックではない。7歳にして本格化した印象だ。
「千八を使うようになって安定感が出てきた。若いころは腰の悪かった馬で、乗る場所を坂路から負担の少ないDWコースにかえたのも良かったみたい」と小原騎手は変身の裏側を分析した。
うだつの上がらない条件馬が生まれ変わったように走り出す。その姿はかつて小原厩舎にいた大先輩、名馬タマモクロスをほうふつさせる。だが、ヒマワリの血にはそれだけの裏付けがある。
母のナナヨーウイングは1997年のオークスでメジロドーベルに肉薄して2着した。体さえパンとすれば活躍できる下地は持っていたのだ。
この中間も順調にケイコを積んできた。「条件馬のころは間隔を詰めて使っていたけど、オープンに入ってからはレースを選んで間隔をあけられるようになった。腰が甘かったような馬だから、回復に十分時間をかけられるローテーションもいいんだと思う。いい感じですよ」とうなずいた。
今回が48戦目。「これだけレース数を使って一変した馬も珍しい」と鞍上は笑ったが、気負いはない。取る戦法はただひとつ。タマモクロスと同じ、追い込みだ。
【最終追いVTR】小原騎手を背に、DWコースで6F86秒5、上がり3F40秒2→11秒7をマーク。スタート直後はやや折り合いを欠いたものの、その後はスムーズな走り。最後は鞍上の仕掛けに対してシャープに伸びた。馬体も引き締まっており、デキ落ちはない。