こうした廃プラ火災は大規模、長期化することが少なくない。茨城県常総市で5月に発生した火災の場合、鎮火に12日間を要した。
「火災現場は廃家電の解体現場で、20メートル近く積み上げられた電子レンジや冷蔵庫、洗濯機が燃えました。けが人こそありませんでしたが、焼失面積は5600平方メートルに及んだ。現場近くでは環境基準の10倍近いベンゼンが検出され、周辺の小学校では目や喉の痛みを訴える児童が続出する事態となりました」(地元記者)
出火原因はリチウム電池のショートの可能性が高い。リチウム電池には燃えやすい溶剤が含まれ、廃プラの破砕の際、衝撃が加わると発火するケースがあるのだ。
「日本容器包装リサイクル協会の調査によると、リチウム電池が原因とみられる発火、発煙事故は昨年128件、今年も4月と5月の2カ月だけで既に60件起きています」(環境問題に詳しいジャーナリスト)
こうしたリチウム電池の問題も早急な対策が求められるが、廃プラ火災が急増している背景には国際問題があるという。
「これまで日本など先進国のプラゴミは、中国が“輸入”という形で引き取ってくれていたが、中国が強くなって受け入れてくれなくなったのです」(ノンフィクション作家の窪田順生氏)
中国が輸入禁止の措置をとった翌年(2018年)、廃プラ火災は一気に急増。5年前に比べて約4倍にものぼっているというのだ。
そのため日本は、マレーシアなどの東南アジアの弱小国に引き取ってもらおうとしているが、
「そもそも他国にゴミを押し付けようという考えが間違いです」(窪田氏)
廃プラ問題に今後、どうやって向き合っていくべきか。もう、他国には頼れない状況だ。