A:現代医学では、めまいを回転性のものと、めまい感の二つに分けています。回転性というのは、文字通り自分の体の周囲がぐるぐる回る感じがするもので、真性のめまいです。
一方、急に頭を上げたりしたときに、頭がぐらっときて体がふらつくことがあります。いわゆる立ちくらみで、めまい感というほうが適切です。
回転性めまいの原因になる病気には、中耳や内耳の疾患や脳の障害、メニエール病、動脈硬化症などがあります。内耳のリンパ浮腫が主な原因といわれます。
それに対し、めまい感は、自律神経失調症や不安感、更年期障害、過労などが原因として考えられますが、明確ではありません。この原因がはっきりとしないめまい感の改善に、実は漢方は威力を発揮します。
●漢方薬とツボ刺激、運動
漢方では、めまいは水毒の状態と捉えます。水毒が特に頭のほうへ働いている状況です。漢方で言う「水」は、気、血とともに体を流れ、私たちの健康を守っています。その水の巡りがおかしくなり、水が停滞した状態が、水毒です。水毒が起こる原因としては、気の巡りの滞りにあると思われます。この水毒を解消する漢方薬は、苓桂朮甘湯や五苓散、半夏白朮天麻湯などです。
また私は、めまいの治療の一環として、手の甲にある中渚のツボにプラセンタなどを注射することがあります。プラセンタは胎盤製剤で、免疫を上げるなどさまざまな効果があります。
中渚のツボは、手の甲の側の薬指から手首に向かう骨と小指から手首に向かう骨の間の、くぼみの中にあります。
このツボを指で押したり揉んだりして刺激するのも良いでしょう。お灸をしても良いと思います。
また、水毒の原因は気の滞りにあると思われます。気の巡りをよくするためには、運動も必要です。定期的に運動しましょう。ストレスも日々解消したいものです。自分なりのストレス解消法を持ちましょう。
なお、先の漢方薬は、内耳のリンパ浮腫によるめまいにも効果が期待できます。
興津 寛氏(アストラル八幡クリニック院長)
統合医療の名医。熊本大学医学部卒業。東京医科大学形成外科、帝京大学溝口病院皮膚科、中国での漢方研修を経て日本医科大学東洋医学科にて臨床を実践。現在、アストラル八幡クリニック(千葉県市川市)院長