「北酒場」は1982年に発売された細川たかしの代表曲である。中村氏が作曲を手がけており、細川の師匠にあたる。RGは細川から「こぶしたかし」の名前をもらい弟子となっているため、師匠と孫弟子の共演が実現した。RGは細川のものまね芸で仕事が30倍に増えているようで、思わぬ相乗効果を発揮しているといえる。こうした例はほかにもある。
「ものまねタレントのコロッケはレパートリーのひとつに美川憲一があります。1989年のお正月に放送された『オールスター爆笑ものまね紅白歌合戦!!』(フジテレビ系)のご本人登場で共演し、会場を沸かせました。それまでの美川は歌手として低迷期にあたり、この登場で一気に知名度を回復。『もっと端っこ歩きなさいよ』『おだまりっ!』などの高飛車フレーズで再ブレイクを果たしました。そのため美川はコロッケに感謝しているようですね」(芸能ライター)
コロッケはものまねをする相手には挨拶を欠かさず、信頼関係を築いている。そのため、失礼とも取れる、極端なデフォルメものまねも許してもらえるようだ。そして、あのプロレスラーもものまねによって、お茶の間の知名度をあげた。
「プロレスラーの長州力は、それまでは全盛期を知るファンには有名な存在でしたが、長州小力のものまねにより、さらに知名度が上昇します。滑舌の悪さのほか、くりぃむしちゅーの有田哲平が行う『コラコラ問答』も注目されましたね。バラエティ番組では『草野☆キッド』(テレビ朝日)や『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 絶対に笑ってはいけない熱血教師24時』(日本テレビ系)へ出演しています」(前出・同)
まったく無名の人間や、需要のない人間はものまねの対象にはならない。ものまねはある意味では知名度のバロメーターである。誰かにものまねされることは本人にとっては名誉とも言えるだろう。