短距離2冠を目指して、春の高松宮記念を制したファイングレインが東上する。
秋初戦のセントウルSでは9着。「休養明けで59キロと条件は厳しかったけど、せめて掲示板くらいには載ってほしかった。正直、負けすぎです」と鞍上の幸騎手は自ら完敗を口にした。デビューから1200メートル戦で4戦4勝と圧倒的な力で春の頂点まで上り詰めた。それが前走で初の黒星。鞍上もショックを隠しきれない。
しかし、叩き2戦目で状態は確実に上向いてきた。1週前にはDWで5F67秒7、ラスト1F12秒0と切れのある動きを見せた。
「前走は七分程度の仕上がりだったし、1度使えば体調もグッと良くなるタイプ。あとひと追いすれば気合も乗ってくるはず」と同騎手。
状態面での上積みはもちろん、春の王者としてのプライドがある。前走で屈辱を味わったまま終われない。ここはGI馬の底力を、意地を見せる。
「どんな競馬でも対応できるのが強みだし、コース、馬場も問わない。何より春のチャンピオンホースとしてここは頑張りたい」
まだ成し遂げられていない同年の高松宮記念、スプリンターズSの春秋制覇。前人未到の記録に向け、春の王者が本気だ。
【最終追いVTR】幸騎手を背に、DWコースで追われた。前半からキビキビとした動きで、ラストも脚色が衰えることなく、左ムチに鋭く反応した。久々の前走を叩かれ、気配、動きともに良化。変わり身は十分に期待できる。