国立国際医療研究センターの南里明子博士によると、1日でご飯の量が茶碗1膳増えるごとに、糖尿病の発症率が男性で1.08倍、女性で1.46倍増え、5膳以上の白米を食べる男性は、3膳未満の男性より1.16倍高くなるというのだ。
山梨大医学部名誉教授の田村康二氏が説明する。
「確かに、白米はあまり食べ過ぎると糖尿病になる。“腹八分目に医者いらず”と言いますが、問題は何を食べているかです。私自身は、毎日1膳五分づき米を食べています。というのも、五分づき米は腸管での吸収率が白米よりも悪く、多少食べ過ぎても栄養過多にならないからです」
『グリセミック指数』という数値がある。これは、炭水化物50グラムが消化されて糖に変化する速さを相対的に数値化したものだ。
それを見ると、パスタが「65」、そばが「54」、全粒粉のパスタは「50」。これに対し、食パンが「95」、白米は「88」で、すぐにブドウ糖に変化し、摂取し過ぎると糖尿病につながりやすいことがわかる。ちなみに全粒粉とは、小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて粉にしたもので、アメリカでは医師会の指導もあり全粒粉のパンも普及しているという。
「江戸時代は、上層階級や町人などの間で玄米に代わり白米が急速に広がった。そのため、ビタミンB1が不足し、江戸わずらい、つまり脚気が流行ったほどなのです」(田村氏)
特に高齢者はご飯を好む傾向にある。80歳以上になると糖尿病患者が増えるが、運動不足の上に白米を多く摂取し、血糖値が上昇するパターンが多いのだという。
「ご飯を食べたければ、とにかく運動すること。毎日1時間以上体を動かすことを意識すれば、糖尿病の発症リスクは減る。ただし、やはり中高年の人はいくらおかずが美味しいからといって“おかわり”しすぎないことです」(健康誌ライター)
秋の味覚でも“腹八分”を忘れずに。