「夜の10時頃、お風呂からあがってテレビを観ていたところ、突然、後頭部に激痛があり、同時に吐き気をもよおしたが嘔吐はなかった。意識を失うとか、麻痺などもなかったが、息苦しかったので病院に行った結果、クモ膜下出血だった」(40歳・男性)
「疲労が続いたせいで後頭部が少しずつ痛くなった。これにともない吐き気や嘔吐が強くなって、やがて食欲がなくなった。一週間後には、物が二重に見えるようになったので病院へ行った。結果は脳腫瘍だった」(31歳・男性)
「吐き気があり、下腹部が痛いので病院へ。便通もあり、熱もなかったが、診察の結果、急性虫垂炎と判明した」(24歳・男性)
「2週間前、胃の辺りが痛み、食後に吐き気があった。便、尿は正常でした。少しも治まらないので病院へ。内視鏡検査の組織検査で胃がんが見つかった」(39歳・女性)
また、のどにひっかかる感じの吐き気に、ストレス嚥下困難がある。不安や恐怖など精神的に嫌なことがあると、吐き気をもよおすという例だ。
これらはほんの一部の体験談。それほど吐き気から病気が見つかることが多いのだ。朝起きて吐き気があっても、胃腸薬を飲めば治ると自己診断していると、大きな病気を見逃しかねない。
嘔吐や吐き気があったら医者に診てもらおう。尿の出が悪い、肩こり、足のむくみ、ストレスなどという自覚症状も見逃さずに医師に話すことで、診断がより確実なものになるはずだ。
そして、人間の体が優れているのは、何か異物を飲み込んだときに、その異物が胃の粘膜を刺激して吐き出させることだ。異物を体の中に吸収させないための自己防衛本能があることを自覚すべきだ。
酒を飲んでほどよく酔いが回り、千鳥足で歩けるくらいならいいが、それを過ぎると“小間物屋”を広げることになる。吐けばすっきりするが、指を突っ込んで無理やり吐くことはやめよう。今食べた物だけでなく、胃液や胆汁などを必要以上に吐いてしまうからだ。
さらに、酒を飲んだ後の嘔吐は要注意。食道などの粘膜が充血しているので、無理に吐くと粘膜が裂けやすくなっている。嘔吐する事によって、食道に傷ができ出血しやすくなる。吐いた物に血が混ざっているのはそのせいだ。
吐き気をもよおしたら、部屋の空気を入れ替えたり、横向きに寝て体を曲げたり、冷たい水をゆっくり飲むなどの応急処置をとること。
注意したいのは、吐いた物が気管に入らないようにすることだ。吐いて症状が治まったら、薄い塩水でうがいをすると気分がよくなる。さらに、大量に物を吐いた後は、水分補給を忘れずに。
専門家は、「吐き気を予防する絶対的な方法があるわけではないが、暴飲暴食は避け、睡眠をよくとることが有効」という。
寝ているときは、副交感神経が働きリラックスできる。起きているときは緊張しているので、交感神経が働き、下痢や嘔吐をしやすくなる。心身ともにリラックスしたときは、腸の働きも活発で、快食快便になる。体が正常なら、吐くということはないだろう。
激しい腹痛のための嘔吐や頭痛などをともなう吐き気は、一刻も早く医者に診てもらうことをお勧めする。