私が以前勤めていたクラブでは、おつまみを黒服やバニーガールが作っていました。季節の野菜や果物を提供したりと、お客様からは「おいしい」と好評でした。その中で、秋になると必ず出されるものがありました。それは、銀杏です。お店には、いつもビニール袋に大量の銀杏が置かれていました。私はてっきりどこかの八百屋で購入したとばかり思っていたのですが、違ったのです。
ある日、お店が始まる数時間前にママからメールをもらい、お店から少し離れ百貨店で待ち合わせをしてお客様の誕生日プレゼントを一緒に選んでいました。プレゼントを用意し軽くお茶をした後、ママが「さ、そろそろ公園いこっか」と言い出しました。公園にどんな用事があるというのでしょうか? 黙ってママについていくと、その公園にはイチョウの木がたくさん植えられており、足元には銀杏が大量に転がっています。つぶれて腐っているものもあり、耐えがたい異臭を放っていました。
ママは鞄の中から袋を出し、一枚を私に預け足元に転がっている銀杏を拾い始めたのです。「ママ…もしかして、これってお店で出すやつですか?」と尋ねると、「そうよ〜」と鼻歌交じりに返事をされました。その当時、私は結構ハマっていたんです、お店で出される銀杏に。お客様よりもたくさん食べて、黒服に「食べ過ぎないように」と注意までされてしまうほどでした。こんな公園で、しかも落ちているやつを、もしかしたら犬や猫が駆け回ってフンとか尿とかかけてしまったかもしれないものを…私は食べていたんですね。
それ以降、お店で出される銀杏には一切手を出しませんでした。お客様には「銀杏の食べ過ぎでお腹を壊した」と嘘をつき、座るだけでン万円するお店にわざわざ通っているのにも関わらず、公園で拾った銀杏を食べさせられているお客様達を不憫に思わずにはいられないのでした。
あなたの行きつけのお店が木の実をやたら出してくるようになったら危険です…。
ライター:西田ひより(竹内レイから改名)
1986年生まれ 愛知県在住
元キャバクラ嬢の経験を生かした恋愛テクニックが得意
http://ameblo.jp/rei-takeuchi/