「正確に言えば、松井知事というより、松井知事とその周辺でしょう」と、ある自民党のベテラン府議は言う。本当だろうか?
実際、ダブル選挙圧勝後の橋下市長は人気爆発中だ。1月20日に大阪市内で開催される予定の市長就任後初の政治資金パーティーでは、チケットを当初予定の1500枚から急遽500枚を増刷するなど売れ行き絶好調。会場もホテルの一室からワンフロア貸し切りに拡大するという人気ぶりだ。後援会の入会申し込み者数も上々で、ダブル選挙後の一カ月で305人増加。資金面、組織面に弱さがあると言われる橋下後援会にしてみれば、嬉しい悲鳴以外の何ものでもない。
一方の松井知事も橋下人気、維新旋風の影響で、景気のいい話が…と思いきや、そうではないらしい。パーティー規模は例年通りで、後援会の入会申し込みも「少し増えたぐらいかな、という感じですね」(松井一郎・後援会事務局)だという。この状況に事務局は「予想通り」とのことだが、地元の後援者の間からは「あまり面白くない」との声が出ているのだ。
「松井知事は、維新の会の黒子を気取っているようですが、政治家はある意味、人気商売。陰に回って喜んでいるようではいけません。ましてや知事なんですから」(八尾市の建設業者)
今でこそ橋下市長が主役の維新の会だが、組織を立ち上げたのは、松井知事ら自民党の府議だった。にもかかわらず、これだけ差がつくと松井知事はさぞ面白くなかろうと、周囲は気を使っているのである。
「松井さんの周辺には、利権絡みで、それなりの期待を持つ人がいます。彼らにしてみれば、せっかく知事になったのに橋下さんの言いなりばかりでは困るのです」(革新系の地元市議)
府議時代の松井知事を知る元府議はこう語る。
「松井氏は本来、橋下さんに負けんぐらいの目立ちたがり屋。それに維新の会を立ち上げたという自負もある。いくら相手が橋下さんでも、ずっと大人しくしているとは思えない」