「首都カイロでは7月5日、軍によるクーデターで解任されたモルシー前大統領を支持するイスラム勢力と反対派が激しく衝突し、30人が死亡したとの情報もある。母国が真っ二つに分かれ先行きも不安な状態ですから、大砂嵐も気が気ではない。自身のフェイスブックでも『僕の国はいったいどうなっているんだ!』と不安ぶりを叫んでいます」(相撲記者)
しかし、大砂嵐は実力もさることながら、大嶽親方にとっても初の関取だけに期待も大きく、今が重要な時期だ。
「本来なら、名古屋場所後にも関取昇進祝いを行うはずでしたが、大嶽親方は中止を決めたといいます。というのも、この勢いであれば十両も2場所で通過すると見ているからです。この名古屋場所では、元横綱輪島らと並び最速タイの2場所で十両に昇進した遠藤も注目されていますが、大砂嵐はこの遠藤よりも実力は格段に上で、上半身だけなら既に幕内上位並み。課題は硬い下半身を柔らかくすることで、これをクリアすれば大関を狙える器。把瑠都なども、うかうかしていられません」(元力士)
大砂嵐も報道陣の取材には、「エジプト国民の心が一つになることを願っている。私にできることは土俵でベストを尽くすことだけ」と述べているが、その心中を相撲関係者が言う。
「正直、日本で相撲なんて取っている場合か! といったところでしょう。引退後はエジプトに帰り相撲の指導者になるのが夢で、毎日必死に稽古し日中断食のラマダーンには食いだめをして耐えている。とにかく真面目で愛国心が強いんです。大嶽親方はそんな大砂嵐を心配して、『お前のできることはエジプトの人を勇気づけることだろう! 日本にいてあれこれ考えても仕方ないから、とりあえず相撲に集中して結果を出すしかない』と、檄を飛ばしていますよ」
祖国愛を力にできるか。