先ごろ、みずほ銀行とソフトバンクが個人向け金融サービスを目的とした合弁会社を設立し、来年から事業を始めると発表した。ソフトバンクの孫正義社長は会見で「ビッグデータとAI(人工知能)を活用した先端的サービス。まさにフィンテック(金融とITの融合)!」と興奮気味に語ったが、要するにスマホを使った“金貸し屋”を始めるのだ。
「090金融は言い過ぎですが、消費者金融の無人契約機がスマホになったと思えば分かりやすい。みずほ銀行は3大メガバンクの中で唯一、大手消費者金融を傘下に持っていないので、失地回復の意味合いもあるのでしょう。ただし、新合弁会社は『日本初のスコア・レンディングを提供する』と力説しており、ここが危惧される部分です」(フィンテックに詳しいライター)
これまで個人が金融機関から融資を受ける場合、その人の勤務先など基本的な「属性情報」を元に信用度を定めて貸出額や金利が決められていた。これらに個人情報を自ら提供することでスコアが上がるというのが、日本で初めての試みというわけだ。
「この追加情報をAIで処理し、貸出上限額を引き上げたり貸出金利を下げられたりするのですが、みずほ銀行は『個人自ら情報提供するので個人情報保護の問題に抵触しない』として、AIをどう有効活用するかについては明らかにしていません。承諾を得ていることを錦の御旗にして個人情報をダダ漏れにしておけば、かなり正確な『スコア・レンディング』が可能にはなりますが、これはユーザーにとって諸刃の剣となるのでは」(同)
つい最近まで消費者金融で無人契約機というものがあったが、つまりは契約機そのものをスマホに置き換えたということだ。安易にお金が借りられるが、何だか怖い気もする…。