そんなシチュエーションの中では、“平成の盾男”はもちろんのこと、この前哨戦、阪神大賞典でも過去5年で4勝。「長丁場では騎手の腕を買え」の格言を体現する天才・武豊が手綱を取るポップロックが心もとない記者の命綱、頼みの綱の本命だ。
背中に一本芯が通るのに時間を要した晩成タイプだが、一昨年の春、4連勝で目黒記念を制覇してからは、父エリシオからしかと受け継いだ無尽蔵のスタミナで息の長い末脚を駆使し、豪州の伝統GI・メルボルンC2着を皮切りに、昨年は宝塚記念3着、秋天4着、そしてジャパンC2着とGIの常連上位馬として完全本格化。暮れの有馬記念こそ、JC激走の反動と前日の降雨のため、ぬかるんだ馬場にあえぎ苦しんだが、それでいて掲示板を外さない5着に踏ん張りきったのだから、実力は折紙付きだ。
間隔はあいたが、ここからの始動は当初の予定通りで、中間の乗り込みは十分すぎるほど。「2週連続して豊さんにまたがってもらってビシッと追い切ったし、いい状態で前哨戦を迎えられます。ホント、1カ月前に帰ってここまで青写真通りにこられたし、有馬の疲れも山元トレセンですっかり回復。精神的にも肉体的にも以前とはまったく違う。今までの実績からしても、ここで結果を出してGIに向かいたい」と、酒井助手もりんと胸を張って歯切れのよいコメント。
横綱、大関不在のここは春天の頂上が見える見事なパフォーマンスで前哨戦を制す。