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19歳のクローザー・松井裕を登板過多にさせない大久保采配

 4月を終えた時点での東北楽天ゴールデンイーグルスの成績は、11勝13敗2分けの5位。オリックスが“開幕6カード連続負け越し”と躓いてなかったら、最下位に沈んでいたかもしれない。しかし、昨季の最終順位も最下位であり、やはり4月終了時点で負け越していた。

 4月30日の対オリックス戦だが、先発・菊池が6回を無失点に抑えたものの、後続投手が掴まり、逆転負けを喫した。
 試合後の大久保博元監督(48)のコメントが興味深い。
 「今日は8回を青山、9回を松井裕で決まると思ったんだけどな…」
 下位に低迷しているが、セットアッパー・青山から松井裕に繋ぐ継投策は出来つつある。
 松井裕樹(19)は4月18日以降、登板していない(同時点)。クローザーを投入する試合展開に持ち込めないからだが、大久保監督はプロ2年目のこの左腕を「勝ち試合でしか使わない」と決めていたのだろう。

 今さらではあるが、松井裕は将来のエース候補として期待され、1年目から一軍マウンドを踏んできた。制球難に苦しみ、二軍降格も経験したが、奪三振数は126(リーグ5位)。同5位タイの岸孝之(30=埼玉西武)が161回3分の1を投げたのに対し、松井裕は116イニングしか投げていない。その奪三振能力の高さを考えれば、「先発で大きく育ててほしい」というのがファンの意見だったが、大久保監督は昨秋キャンプ終盤から、クローザー抜てきを示唆。外国人投手でクローザーを補う選択肢もあったはずだが、最終的には同監督が強く主張し、他コーチ陣を説得したという。
 クローザー転向に批判的な声も少なくなかった理由は、「救援投手=連投=短命」の図式があるからだろう。しかし、大久保監督の松井裕を一人前に育ててみせるという重きは本当のようだ。

 そもそも、同じ救援投手でも、セットアッパーとクローザーはその調整法が異なる。セットアッパーは勝敗に関係なく、「行け!」と言われたところで投げなければならないが、クローザーは違う。クローザーがブルペンで肩を作るのは勝ち試合のみ。セットアッパーとクローザーの両方を経験したプロ野球OBによれば、「同じ年間50試合に投げたとしても、その疲労度は天と地ほどの差がある」という。大久保監督はクローザーの調整方法を生かし、松井裕の肩を“消耗”させずに経験を積ませていくとの教育プランを選んだのだろう。
 「楽天の救援陣は、マーティ・ブラウン監督が就任した年から『セットアッパーも監督、担当コーチが指示した投手以外は投げ込みをやらない』という調整法が浸透しています。セットアッパーは、ブルペンで肩を作っても、先発投手が持ち堪えて登板ナシなんてことも多々あります。だが、ブラウン式のブルペン管理は星野(仙一氏)態勢でも継承され、大久保監督が変更したという話も聞きません」(投手出身のプロ野球解説者)

 19歳のクローザーは12球団最年少。連投による消耗は防げるとしても、中盤戦以降の課題は「連敗で登板間隔が空いてしまった場合の調整方法」だろう。来季以降も松井裕を救援で使っていくのかどうかは分からないが、大久保監督が数年後も見越していることは間違いないようだ。

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