A:普通は、こめかみと頬はふっくらしているもの。それが正常な状態です。それが痩せてくると、これらの肉が落ちるため、頬骨が浮き上がってきて、横にスジが出ます。
ご質門の方の場合も痩せたためで、それを通り越し、やつれているのではないでしょうか。仕事がハードで、へばっているとのこと。今の状態をこれ以上続けるのはよくないですね。
●漢方の十全大補湯が有効
ハードな仕事や過剰なストレスが数年も慢性的に続くと、心身を消耗し、やつれてきます。ご質門の方も、そういう例に該当すると思われます。
怖がらせるようですが、こういうやつれた状態が長年続くと、やがてはがんになる恐れもあります。
というのも、ご質門の方のような状態に対して、漢方薬の十全大補湯が非常によく効くからです。
この漢方薬は、以前から盛んに、がんの人に用いられてきました。がんは消耗性の疾患で、どんどん体力が奪われます。その消耗に対して効果的なのです。
●ビタミンB摂取も併せて
今では、この十全大補湯は、ご質門の方のように心身が消耗した人によく用いられるようになってきました。がんの人は、がんになったから体力が消耗するわけですが、心身が消耗した結果、がんになることもあります。両者は異なっているようで、とてもよく似ているといえるでしょう。
十全大補湯は、黄耆、人参、桂皮、当帰、せんきゅう、芍薬、熟地黄、蒼朮もしくは白朮、茯苓、甘草の各生薬を配合しています。消耗した体力を補う補薬の代表的なもので、適応症は病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血などです。
ご質門の方は、仕事の事情は個人レベルの対策ではなかなか変えられないでしょうが、なるべく規則正しい生活を心がけ、少しでもストレスと疲労をなくすように工夫したいもの。
その上で、十全大補湯を服用することをお勧めします。併せて、ビタミンBも摂取するとなおよいでしょう。
十全大補湯はエキス剤があり薬局で購入できます。健康保険が適用されています。
できれば、漢方の専門医や大学病院の東洋医学外来などを受診し、診断してもらって服用するとよいでしょう。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。