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中居+ナイナイの「めちゃイケ」で干された大吉が奮起した

 ビートたけしや松本人志、明石家さんまほか、多くの一流芸人から厚い信頼を得ている芸人、博多華丸・大吉。二十歳から地元・九州の福岡で活動をはじめ、抜群の知名度を誇ったまま、35歳で東京進出。児玉清(故人)のものまねで披露する“あいうえお作文”で、華丸が『R−1ぐらんぷり2005』で優勝したことがきっかけだった。ここ数年はMC、ひな壇、ロケ、フリートーク、サブキャストのすべてを任せられるオールラウンドプレイヤー。しかし、福岡で大人気だったころ、大吉は1年間、芸能界を干されている。

 猿岩石ほか、多くの人気タレントを輩出した伝説のガチバラエティ“進め! 電波少年”(日本テレビ系)シリーズ。同番組が空前の人気だったころ、26歳の大吉は、自身がMCを務めていた番組で1年間、アメリカに留学することとなった。ところがこれは、所属していた福岡よしもとが介在しないところで進んだプラン。オンエアしていたテレビ局とタレントが独断で決めたものだ。怒ったよしもとは、番組を打ち切り。大吉は、1年間の謹慎処分を食らった。

 芸人は基本、出来高の完全歩合制。この間、“バイトするなら借金しろ”と芸の研磨に厳しく、すでに顔が割れていた大吉は、バイトができなかった。仕方がなく、アパートにこもって、ひたすら漫才のネタを書いていた。芸人復帰への夢が薄れかけたとき、ふとつけたテレビに映っていたのは、よしもと芸人がトップアイドルと憧れのフジテレビのゴールデンタイムで大爆笑をかっさらっている姿だった。この芸人は、ナインティナイン・岡村隆史。アイドルは、SMAP時代の中居正広だ。

 大吉が観たのは、97年10月4日にオンエアされたナイナイと中居による日本1周企画の“岡村オファーシリーズ第1弾”。前年にスタートしたばかりの年に1度の名物企画で、岡村はバックダンサーに扮してSMAPの大阪ドーム(現・京セラドーム)に潜入。最終的には、中居のソロナンバー『みんな1人じゃないのだ!?』で、せり上がりのメインステージに立って、歌って踊った。

 博多華丸・大吉とナイナイは、同じ90年結成。大吉は岡村と同級生だ。新人時代、大阪で売れまくっている同世代がいるという話は、しょっちゅう聞かされていた。その岡村が、何万人もの大観衆の前で黄色い声援を浴び、相方の矢部浩之が別室でモニタリングしているという“めちゃイケ”は、衝撃的だった。気づけば、1滴も酒を飲んでいないにもかかわらず、涙があふれ出ていた。

 そんな忘れられない一夜から21年が過ぎた今、大吉は岡村と、華丸は矢部と大親友。大吉は、岡村が体調不良によって休業した際、プライベートでとことん一緒にいた。岡村には、結婚を視野に入れた女性を紹介したこともある。博多華丸・大吉はナイナイをエンターテイナーとして、ナイナイは博多華丸・大吉を漫才で超えることはできないと断言する。

 華丸がピン芸人で日本一に輝き、コンビとしては『THE MANZAI 2014 〜年間最強漫才師決定トーナメント!〜栄光の決勝大会〜』で優勝。不動の地位を手に入れたといっても過言ではないが、その原動力は間違いなく、3月で終了する“めちゃイケ”。
 大人気番組の幕引きを悲しんでいる者は、こんなに近くにいたのだ。

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