4月20日、今季初めて甲子園で行われた伝統の一戦は、藤浪晋太郎(23)の“ノーコン病”で台なしとなってしまった。
「悪いところが出た。見ての通り。(次回チャンス?)今から考える」
試合後、金本知憲監督(50)は淡々と答えたが、完全にキレていた。怒鳴ったり、何かを蹴飛ばしたりする時もあるが、“臨界点”を超えると無表情になる。淡々と答えている時の方が、怒りの度合いが激しいのである。
「この試合で結果を出せないと、二軍落ちとの情報も交錯していました。四球6、5回で自責点6。小野泰己、新人の高橋遥人が結果を出しているので、藤浪の先発起用に固執する必要はありません」(在阪記者)
ただし、こんな解釈もされていた。6つも四球を出したが、奪三振数は「10」。
「不振脱出は気の持ちようではないか?」(関係者)というのだ。
「気の持ちよう」とは非科学的だが、今の阪神は精神面で左右される選手が少なくないのだ。
「例えば、藤浪の練習での様子です。投球フォームを気にしながら丁寧に投げてはいるものの、右打者への外角、高低でのストライクコースを意識した実践的な練習はやっていない。また、阪神ナインは失策が多いのに、エラーしてもニヤニヤしています」(同)
喝を入れる方法はいくつかある。当該選手を怒るのは当たり前のことだ。これまでの金本監督もそうしてきた。しかし、それでも改善が見られない場合、つまり、今の阪神の状況では、担当コーチを叱らなければならないのだが、どういうわけか、金本監督は選手には厳しいものの、コーチには甘いのだ。
「藤浪の考えすぎから始まるノーコン病や、野手の失策は今に始まった話ではありません。改善できないコーチを責めるべきです。選手にすれば、『自分のせいでコーチにまで迷惑を掛けてしまった』という思いになりますから」(同)
つまり金本監督は怒る相手を間違っているわけだ。現コーチスタッフは金本監督の要請で集められた。首脳陣に緊張感がなく、仲良し集団では、同じミスが永遠に繰り返される。
「故・星野仙一氏は怒っても大丈夫な選手を選び、ミスが出ると、その選手は直接関係ないのに皆の前で叱ったり、時には腹心のコーチを怒鳴っていました。チームに喝を入れるだけではなく負の連鎖を断ち切るためです」(ベテラン記者)
藤浪が自滅した前日の19日、坂井信也オーナーが抜き打ちで二軍戦を視察した。目下、二軍は25試合で42盗塁という、驚異的な機動力を発揮している。一軍は18試合でたったの1。12球団ワーストだが、「プロとして恥ずかしい限り」との指摘もされている。
金本監督がコワくて失敗を恐れ、誰も走れないのだろう。一軍を差し置いての二軍視察とは意味深だ。
オーナーによる仲良し集団の解体も時間の問題か…。