世界的に有名な温泉街・熱海。4人の女子高生を乗せた永遠の森学園のスクール・バスが忽然と姿を消した。3年後、意識不明で発見されていた一人の女子高生・東雲麻衣(三吉彩花)が目を覚ます。ナゾの多い学園内部と、不可解な市長・甘利(団時朗)の行動、町ぐるみで怪しい熱海に操作のためにやってきた広域捜査官・星崎剣三(オダギリジョー)とその相棒北島紗英(栗山千明)が、個性的な現地の人々の協力を得ながら事件を追う。
一応ミステリードラマ仕立てだけど、おふざけがメインのエンタメドラマ。オダギリジョーをカイル・マクラクランに見立てると、女子高生がわらわら出てくるところとか、見た目も話し方も怪しい町民、事件の真相そっちのけでそれらを見せたいドラマのつくりなどが、チャッピーが若い頃ものすごく流行った米ドラマ、デイヴィッド・リンチの「ツイン・ピークス」そっくり。松重豊とふせえりが着る熱海署の制服から萩原聖人のエコ狂いのアブナイ人、裏で女子高生の援助交際を斡旋する広田レオナの陶芸教室に至るまで、微妙に変えてはいるがテイストが同じところや、細かいディテールも丁寧にフェイク。リンチ好きなオジサン、オバサンも満足なつくりよ(チェリーパイは出ないのかしら)。温泉に来てインチキな秘宝館を覗くような感覚も楽しく、盛況だった今は昔のひなびた温泉街・熱海のまた違った魅力を引き出している。
個人的には「キル・ビル」ではすごかったけど、ドラマでは意外にアクの弱い栗山千明よりも、怪しい女教師役で出演している、ダメハリウッド俳優・スティーヴン・セガールを父に持つ藤谷文子と、色っぽいレストランのウエイトレス奈々子を演じる小島聖に注目。チャッピーどっちも大好きな女優なの。それにしても、松尾スズキや田中哲司を思いっきり脇で使うとか、贅沢すぎるキャスティングにしてやっぱりそれなりに光ってる主演のオダギリジョーって、たいしたもの。この手の作品を手がける人気クリエーターたちに愛され過ぎる理由がここにあるのかもしれないわね。(チャッピー)