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ケイリン徒然草 内田選手の事故死を引き起こした根本的な原因

 内田慶(栃木)の事故死にはショックを受けた。特別競輪のGIではかつて昭和42年の岸和田オールスターで将来を嘱望された福島昭亮(埼玉)そのあとには静岡の全国都道府県選抜で中村政光(千葉)が競走中に事故死している。この間、ヘルメットの改良や防護服などの改良があって事故死は全くなかった。

 相変わらず落車は多い。コースを狙っての強引な突っ込みでの接触事故で、骨折などはあっても内田のように死につながる事故は皆無だった。信じられない思いだ。本当の原因は分からないが、基本的には落車の際にハンドルを離したのではないかとも言われている。
 昔、ベテランの追い込み選手は「落車すると思ったら、ハンドルを握りしめるのだ。ハンドルを離したら大けがをする」といっていたことが思いだされる。ハンドルを離すようなバランスの崩れは、最近の追い込み選手にみられる大ギア変更にも一因があるのではなかろうか。
 先行選手が大ギア仕掛けでくるから、それに離れまいとギアを上げるのは分かるが、すんなりしたレースで大ギアの先行がペースに乗った時は効果があるにしても、マーク追い込みのための大ギアは、前がつまってバックを踏んで踏み直した時にはかえってきつくなってくる。
 「先行のギア変更は分かるが追い込みが大ギアにしてくるのは、どんなものか」と評論家の中野浩一さんも言っている。
 内田の場合は4千メートル追い抜きのチャンピオンで明らかに地脚タイプだ。大ギアを踏みこなすにはダッシュがいる。残念ながらギアの選定を間違えたのではないかと思う。
 選手は凄くデリケートだ。ほかの選手が成功するとすぐにフレームや部品の改良に取り組む。内田も常に上位を狙おうという気迫から、悪い結果につながったのではないか。惜しい、ほんとうに惜しい。ライバルの飯嶋則之が福井のふるダビを制していただけに、内田も気合が入っていたのだろう。地脚があるだけに、時間はかかるだろうが、GIIはもちろんGIを制覇する力もあった。
 27歳の死はあまりにも悲しい。冥福を祈るとともに、このような事故が再発しないように、選手個人の自覚も必要ではないだろうか。
 もっとも、その原因は競輪収益の減少にある。競輪選手として未来に展望が持てないから、早く結果を出そうとあせる。大体、追い込み選手として実績を上げるのに3年から10年かかるが、それを待っていられないのも原因だし、斡旋の間隔にも問題がある。グレードの高いレースが売れるだけに、施行者もそこに人気選手を集中させる傾向は激しい。ともあれ、選手の死亡事故が起きないように祈るだけだ。

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