商店街に入ると垂れ幕は数十メートル間隔で掲げられ、文言にはバリエーションがあった。「佐竹に明治時代、見世物の大仏があった」「入谷朝顔の発祥は御徒町です」「樋口一葉は下谷御徒町に住んでいたことがある」とたたみかけてくる。次のネタは何だろう?と好奇心を刺激され、気がつけば全約300〜400mを歩いていた。徐々に苦しいネタも出てくるが、ナイスアイデアである。
佐竹商店街振興会は「テレビ番組『トリビアの泉』を真似て企画したものなんですよ。名付けて“佐竹トリビア”。割と評判がよくて、各商店主からも『へえ〜』って声があがりました(笑)」と説明した。
台東区教育委員会によると、この一帯には江戸時代、出羽国久保田(秋田)藩の上屋敷があり、約20万石を領有した東北地方屈指の外様大名だったという。明治時代半ばから民家が立ち並び、商店街として発展した。
全国の商店街に共通する悩みだが、佐竹にもシャッターの閉まった店舗はあり、商店主は後継者問題に頭を抱えている。
ある店主は「昔はどこも親子2世帯ぶんの稼ぎがあったから『継げ』と言えたけど、いまはどこの息子もサラリーマンをしているから」と寂しそうだった。