A:静脈は心臓へ還る血液が通る血管で、血液が逆流しないように弁が付いています。下肢静脈瘤は、なんらかの原因によって、この弁が壊れ血液が滞ることによって起こる病気です。
脚に、ボコボコとこぶのようなものができ、静脈が拡張し、血管が浮き出て見えます。症状は、足がむくむ、痛む、だるい、重い、疲れやすいなど。足に熱感があることがあるし、足がつることもあります。
症状が進むと、足にかゆみが生じ、湿疹ができて治りにくかったり、皮膚が黒ずんで見えることがあります。さらには、潰瘍ができることもあります。
治療法としては、医療用の弾性ストッキングをはく方法もあるし、硬化療法やストリッピング手術もあります。皮膚表面にぼこぼこと浮き出ていて、赤く熱を持つような場合は手術の適応だと思われます。
●握足手などで対処できる
ご質問の方の場合、そこまで症状が悪化してないようですから、私が紹介する方法で対処できるでしょう。
そこで、ご質問の方にお聞きしますが、静脈瘤は左右どちらの足が症状が重いでしょうか。大抵の場合、左右どちらかが症状がひどいものですが、それは症状がひどい足のほうに負担がかかっている証拠なのです。
調理師は立ち仕事であり、立っているとき、どちらか一方の足に重心をかけるのが癖になっているでしょう。そこで、左右の足に均等に重心をかけるように気をつけましょう。そして時々は足指ストレッチ(握足手)を行いましょう。
握足手は次のような手順で行います。
(1)左の足指の間に右手を入れます。
(2)足指にはさんだ手の指をギュッと握り締めます。
(1)と(2)をくり返します。
(3)左手で右手を抑え、右手で左の親指を握ったまま、グルグルと回します。
(1)〜(3)を右足にも同様に行います。
また、就寝時には少し足を上げて、むくみを予防するとか、前出の弾性ストッキングを仕事中に穿くことも勧められます。ストッキングを着用する場合は、足指がぎゅっと押さえつけられないようなものを選んで下さい。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。