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“俊輔ジャパン”は危険

 サッカーの岡田ジャパンが“俊輔ジャパン”に変わりつつある。南アW杯のアジア最終予選で日本代表の司令塔として、積極的な発言が目立つようになったセルティックのMF中村俊輔(30)。練習時には若手選手に注文をつけ、ピッチ上では試合をコントロール。今や、俊輔なくして日本代表を語れなくなっている。しかし、俊輔のチーム支配は両刃(もろは)の剣になる危険性もある。

 2010年南アW杯最終予選の初戦、バーレーン戦を完全アウェーの敵地で勝利し、幸先のいいスタートを切った岡田ジャパン。2戦目はホームでのウズベキスタン戦。しかも10月15日とまだ1カ月近くあるせいか、岡田監督は同じA組のウズベキスタン―オーストラリア戦を視察するなど余裕があるかのように見える。しかし、代表メンバーの状態は決して万全とは言えない。スポーツ紙デスクがこう指摘する。
 「俊輔は欧州チャンピオンズリーグなど、ウズベキスタン戦まで6週で8試合の強行日程。セルティックの司令塔でもあり、途中出場させるなど体力面を考慮した使われ方をしているぶん、余裕があります。問題は日本でゲームに出場している代表メンバー。浦和のDF闘莉王は右太もも裏に深刻な爆弾を抱えていて、いつ休養してもおかしくない。守備の要だけに戦線離脱するようなら、かなりの戦力ダウンになる」
 闘莉王だけではない。
 「同じ浦和のFW田中達也もバーレーン戦で痛めた右太ももが良くなっていない。田中達本人は『たいしたことはない』と言っていますが、状態次第ではピッチに立てなくなる可能性がある」(前出・同)
 岡田監督の選手起用の特徴はメンバー固定がそのひとつ。チームを熟成できるメリットがあるが、闘莉王や田中達のように故障者が出ると戦術を徹底できなくなる弱点がある。
 バーレーン戦では、チームになじんでいないことを理由に稲本(ドイツ・フランクフルト所属)を使わなかった。欧州のサッカー事情に詳しいフリージャーナリストは、「MFにタレントがそろっていたとはいえ、不可解でした。イングランド、ドイツで当たりのきついサッカーを経験している稲本は大柄な外国人選手にビビることはない。日本での試合ならともかく、ラフなサッカーをする相手にはぴったりなのに…」と言って、稲本の不満を代弁する。
 タフな試合の経験では、稲本にヒケを取らないのが俊輔だ。バーレーン戦ではターゲットにされ、何度も倒されるシーンがあった。しかし、そのたびに立ち上がり90分間、試合をコントロールして見せた。
 「“オレはこうやってヨーロッパで戦ってきたんだ”というところを見せたかったのではないか。日本のクラブにしか所属経験のない、井の中の蛙(かわず)の代表メンバーも多い。彼らに世界の厳しさを身をもって伝えたかったのでしょう」
 練習時には岡田監督をそっちのけで、DF内田(鹿島)らを指導。試合中もポジション取りなど細かく指示を出していた。さながら、俊輔ジャパンになっているのだ。
 「岡田監督と俊輔の付き合いは10年以上になり、信頼関係は厚い。だから岡田監督は俊輔については何も言わない。しかし、そこにこそ岡田ジャパンの不安点もあるわけです」(前出・スポーツジャーナリスト)
 不安点の第一は、俊輔が不在のゲームだ。すでに30歳。本人も体力の衰えは自覚している。だからこそ、動けるうちにピッチで手本を示そうとしている。
 「岡田監督と俊輔の間で戦術は統一されているはずですが、状況に応じて変化するもの。ピッチ上での俊輔の指示と、ベンチからの岡田監督のそれにズレが生じたときが怖い。勝っているうちは表面化しないでしょうが、負けたときは責任問題になっておかしくないでしょう」
 日本サッカー協会のアドバイザーを務めるオシム氏の健康状態がよくなり、現場復帰に強い意欲を示していることが明らかになった。ユース世代の指導者を希望しているらしいが、岡田ジャパンにアドバイスするように依頼したほうが正解なのではないか。

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