EUでは、「乗ってはいけない航空会社リスト」を公表している。リストアップされた航空会社は、欧州の飛行場を使うことはもちろん、領空内に入ることも禁じられている。
航空評論家の青木謙知氏が説明する。
「航空会社を管轄する国の監督が不十分なうえ、機体も定期的に整備を行っていない。しかも、先進諸国の航空会社が退役させた製造後30年以上の航空機を使用し続けていることが基準となっています。また、ハイジャック防止などのセキュリティーが不十分であることも問題となります」
リストには、295もの航空会社が並ぶ。アフガニスタン、アンゴラ、コンゴ、インドネシア、カザフスタン、キルギス、リベリア、モザンビーク、フィリピン、スーダン、北朝鮮、イラン、ガーナなど、アフリカとアジア各国の航空会社が多い。
「墜落事故の原因は、航空会社の経験不足でもあります。'12年、パキスタンのボジャ航空機がイスラマバード近郊の住宅街に墜落した事故では、操縦士がこの航路を飛んだことがなかった。しかも、墜落したボーイング737は、32年前に製造されたものだったのです」(外信部記者)
また、飛行ルートに関しては、大手航空会社でも最も少ない燃料で飛べるコースを選ぶという。
「例えば、紛争地域の上空が最短ルートだったとしても、“ここは危ない”という航空情報があれば当然回避するが、あとは燃料の残量やコンピューターの出した条件を勘案して機長が決めるのです」(青木氏)
7月17日にウクライナ東部の上空で撃墜されたと見られるマレーシア航空機の航路は、燃料費増加を防ぐためのものだった、はたまた安全だと認識していたなど、さまざまな憶測が飛び交っている。世界各地で紛争が起きている今、他人事ではないのだ。