「タイでは3番目に古く、農業系ではレベルが高い由緒ある国立の同大学では、講義に遅れそうな学生同士がキャンパスをダッシュ、目はスマホの画面、あるいは通話に夢中で全く気をつけず衝突するというのが毎朝の日常風景でした。そこでビジネス学科に在籍する学生が中心となり、インターネットで仲間に解決策のアイデアを募ったのです」(現地特派記者)
「全面禁止」「イエローカード制度」「中央分離帯」などの数々のアイデアが出たが、実現性という点から浮上してきたのが「スマホ利用者を区別して彼らだけに歩いてもらう専用歩行レーンを作る」という案。
タイミングよく日系大手企業の「大学キャンパスにあるいろいろな問題のユニークな解決策のアイデアを支援する」というキャンペーンがあり、試しにと応募したところ採用され、2万バーツ(約6万8000円)の資金援助を得ることができたという。
「学生たちは支援金のうち6000バーツを使い、キャンパス内の歩道500メートルに白線を引き区分。携帯電話の絵を描いた、タイでは初となる専用レーンを設けた。しかし、実は同様の試みは中国の重慶市や米ワシントンDCなどでも試験的に実施されたものの、認知度不足やスマホ利用者同士の衝突が増えるといった新たな問題が生じ、なかなか社会的な普及には至っていない。同大学でも学生らが区分に関係なく歩行するなど、効果を得られていないのが現状です」(前出・記者)
結局は、互いに注意するしかなさそうだ。