仕切り直しの一戦だ。マルカシェンクに与えられた課題はただひとつ。勝つことしかない。
「秋に向け、何とか賞金を加算しておきたい」と河内師は語気を強めた。この秋にはGIを狙う。そのための下地をこの春から整えるつもりでいた。
しかし、自信満々で挑んだ前走のダービー卿CTが大誤算。ゲートで落ち着きがなく、つまずいて大きく出遅れた。ラスト3Fは33秒台、最速上がりで追い込んだものの、先行策から楽に流れに乗ったサイレントプライドには遠く及ばなかった。
しかも、つまずいた際、後ろ脚をざっくり外傷してしまい中間はいったん放牧に出して立て直すしかなかった。
「結構、深い傷だったからね。だけど放牧先で順調に回復したから、意外と早く戻ってくることができた」。栗東に戻ったのが7月初旬。その時点で目方が500kgを切るすっきりした馬体。たっぷり食わせて、しっかり調教を積むことができた。
1週前追い切りは栗東CWコースで併せ馬。師自ら感触を確かめ、6F81秒7、ラスト1F12秒4を楽々とマークした。時計のかかる馬場だったが、ムチが入ったときの反応は鋭かった。
「あれでもう仕上がった感じだし、気性的にもポン駆けが利く。ゲート練習もしっかりしたし、休み明けの不安はない。今後、かなり期待している馬だから、何とかここは…」。真夏の新潟で厩舎待望の初タイトルが実現するか。
【最終追いVTR】DWコースでワンダーアームフル(3歳未勝利)と併せ馬。実質的な追い切りは先週に行っている関係もあり、今朝はラストの反応を確かめる程度。迫力という点には欠けたが、鞍上の追い出しに反応良く脚を伸ばし、2馬身先着。帰厩当時はガレていた馬体もすっかり戻っている。