お店でお客さんとよくペット談義に花が咲くんですが、アタシがその輪に加わると、居合わせたみんなが一歩引いてしまうのでペット談義は嫌いです。
そんなアタシが飼っている愛しいペットはマダガスカル島出身のカメレオンなのです。恐竜の生き残りのようなパンサーカメレオンです。もちろん名前はあります。カメちゃんです。まんまの名前です。
飼うきっかけは、キャバ嬢の前のOL時代に大失恋をして、1週間近く会社を休んだ時、何気なく入った当時住んでいたマンションの近所のペットショップにカメちゃんはいたのです。
陳列ケースの中の木の枝でじっとしたまま動かずにこちらを見ている気配をアタシは感じたのです。そんなに爬虫類は得意ではないのですが、こちらを見つめるあの何ともいえない視線にアタシは、自分の心の弱さを見透かされているように思ったのです。
さっそく銀行でなけなしの貯金を取り崩してカメちゃんを飼う準備に入りました。ペットショップの店長から飼育の手ほどきを受け、カメちゃんの飼育に没頭しました。
カメちゃんのために安給料のOLを辞めてお金の稼げるキャバ嬢に転職しました。まるで男に貢ぐ女のようです(笑)。
仕事を終えて家に帰るとカメちゃんがアタシの帰りを待っていてくれるのです。さっそく生きたコオロギの餌を与えると、あの長い舌を出してペロリと食べるのです。そして満足そうにあの丸い目を横に細めてくれるのです。
泰然自若として何事にも動じないカメちゃんの姿や動作を一日中見ているとアタシは癒されるのです。お店で嫌な事があったり、お客さんに嫌味を言われて落ち込んだりした時、いつもカメちゃんがアタシを慰めてくれます。
飼う部屋の温度と湿度を気にしながら、最近では健康状態を考えて爬虫類用のサプリメントも与えています。もうアタシの生活はカメちゃんなしには考えられません。カメちゃんの先祖を考えると、あのジュラシックパークのような恐竜に繋がっているのかと思うと、ロマンを感じてしまうのです。
こんなカメレオンの世話をしているキャバ嬢に男はできないかもしれませんが、同じカメレオン好きの男性が現れることも期待しています。