快調に首位戦線を走るソフトバンクにしても、決して万全ではない。主力選手の裏切りは、チームを瓦解させかねない。
「松坂はソフトバンクだけではなく、日本中のプロ野球ファンを裏切ったとも言えます。松坂の帰還、復活を楽しみにしていたファンは大勢いて、その獲得に批判的だったフロントスタッフを説き伏せた王貞治会長をも裏切ったことになる」(ベテラン記者)
松坂大輔は6月末、工藤公康監督とリハビリ状況について話し合っている。工藤監督は対談後、記者団に囲まれ、対談の中身こそはぐらかしたが、「復帰の時期を来季に先延ばしした」(関係者)と明かした。“年俸4億円のリハビリ選手”の誕生である。
「2012年ドラフト1位の東浜巨が順調に育っていれば、松坂は獲得しなかったかもしれません」(スポーツ紙記者)
東浜はプロ3年目だが、通算登板数はわずか14。契約金1億円プラス出来高5000万円。出来高はゼロとしても、ホークスがドブに捨てたのは松坂の年俸だけではないのだ。
“給料ドロボー”はオリックスにもいる。今年、年俸3億5000万円で日本球界に復帰した中島裕之もその一人だ。
「渡米前の打撃フォームとは別人。守備にしてもショートを守る脚力は残っていない」(同・記者)
'14、'15年オフに要した補強費は41億円強。中島の他、日本ハムからFAの小谷野栄一、DeNAのブランコ、広島のバリントンを獲得。ここにFA権を取得したエース金子千尋、クローザー平野佳寿の残留交渉が重なった。その両投手が故障、不振でシーズン序盤は戦力にならず、森脇浩司監督を途中休養に追い込んだ。
「計算外といえば、西武の岸孝之の故障も痛かった。年俸2億2500万円のエースがキャンプ初日にいきなり怪我ですからねぇ…」(前出・べテラン記者)
監督を裏切ったといえば、日本ハムの斎藤佑樹だろう。
7月3日に2度目の二軍降格。6月13日に一軍復帰した後、10試合に登板したが、防御率9点台。他の選手だったらとっくに“解雇”されていたはずだ。
「人気があるから解雇されない? 日ハムの看板選手は大谷翔平に完全に移っていて、モチベーションも落ちている」(前出・スポーツ紙記者)
「営業目的で指名した選手」との“残酷な証言”も聞かれ、斎藤の登板が観客増につながったとの話も聞かれなくなった。今秋のドラフト会議で超高校級の高橋純平投手(県岐阜商)が獲得できれば、決断するともいわれるが…。