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名医・博士の健康術 ★今週のテーマ 体内時計と体調管理

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提供:週刊実話

“朝食をとる時間”を変えて体内時計を効率的にリセットすれば、夜更かし、時差ボケ、夜勤明けでも1日元気にすごせる!!

 現代人のライフスタイルは人それぞれだが、中には昼と夜を交代で働くシフトワーカー(交代制勤務)や、出張で国内と海外を行き来するなど「朝起きて、夜寝る」という基本形態とは異なった生活を送る人もいる。

 また、休日に昼すぎまで寝てしまい生活リズムが崩れ、休み明けに睡眠不足で悩まされる人も多い。必ずしも「時計」の針とともに生活するとは限らない現代だからこそ、我々は体の中にある「体内時計」と向き合い、うまく付き合っていかなければならないのだ。「時間」という観点から医学、栄養学、調理学といった領域にアプローチすることを専門とする理学博士の古谷彰子先生は、体内時計のメカニズムについて次のように述べている。

「最近の研究で、体内のあらゆる細胞に『時計遺伝子』によって形づくられる体内時計があることが分かっています。中でも脳には『視交叉上核』と呼ばれる1日約24・5時間の『メイン時計』があります。他にも胃や腸、肝臓や皮膚など様々な末梢組織に『サブ時計』があり、それぞれの時を刻んでいます。これらの時計がズレた状態でいると生活のリズムが保てなくなり、健康を損ねて病気のリスクを高めてしまいます。体内時計を正しく理解することが、どのようなライフスタイルでも元気にすごすポイントになります」(古谷先生)

★太陽の光が体をリセット

 地球の1日は24時間だが、あらゆる組織の体内時計はバラバラに時を刻むので、放っておくと少しずつズレていく。そのため体内時計を「リセット」して1日24時間の生活に合わせることが、非常に大事なのだ。リセットとはメイン時計を24時間に合わせることで、その他のサブ時計全体も24時間に合わせていく、体内時計の調整のことである。

 この体内時計のリセットに効果があるものの1つに「光の刺激」がある。特に太陽光は、日中多く浴びることで睡眠のリズムをつくる「メラトニン」というホルモンの分泌が促され、夜の快眠を手助けしてくれる。

「メラトニンには、発がんの抑制やアンチエイジング、ボケ防止など、様々な効果があります。年齢を重ねるごとにメラトニンの生産量は落ちていくので、朝起きたら太陽の光をしっかりと浴び、夜は明るい照明をあまり浴び続けないで早く寝るのがポイントです。曇天や雨天でも、太陽の光には体内時計をリセットする力があります」(古谷先生)

 夜更かしをしがちな人は、朝起きたらとりあえず太陽光を浴びてみよう。メラトニンを体内で生成する習慣をつくるだけで、徐々に改善の方向に向かうはずだ。

★朝食が1日のリズムを刻む

 このように、太陽光には体内時計をリセットさせる効果があるが、昼勤も夜勤もあるシフトワーカーは対応が難しい。勤務時間が不規則なので、体内時計を乱してしまうことが多いのだ。

「体内時計が乱れやすいと病気(腫瘍の増殖、肥満など)のリスクが高まるので、自分で何かしらの対応をしていかなければなりません。例えば、夜勤明けに太陽の強い光を浴びると、視交叉上核が朝だと判断してしまいます。そうなると睡眠の妨げになるので、帰宅時に光をカットする濃いめのサングラスをかけるのも有効です」(古谷先生)

 時間が不規則なシフトワーカーの人たちが健康的にすごすには、「仕事を始める(行動を開始する)時間が、自分にとっての朝だ」と体内時計を認識させることが大事だ。そこでもう1つお勧めしたいのが、食事で体内時計をリセットする方法である。

「朝、きちんと食事をすることで、体内のすべての時計をリセットし、1日24時間のリズムに合わせることができます。光による刺激を十分に感じることができなくても、食事時間や食事内容を上手にコントロールすることで、1日のリズムを刻むことができます」(古谷先生)

 昨今は朝食が軽視されがちで、『朝食抜きダイエット』も流行っているが、血液中のブドウ糖の量を高めて脳の活動を活性化させる朝食を抜くと、「体に朝の時間を教えない」ということになる。そうなると必然的に1日のリズムも崩れ、体内時計が乱れて肥満にもなってしまう。ダイエットをしたつもりが逆に太るという皮肉な結果を招くので、長い目で見れば、朝食をとることは体型維持にも非常に効果的なのだ。

 体内時計の調整では、寝る時間帯の「絶食時間」をいかに確保するかが大きなカギを握る。英語では朝食を「ブレックファースト」というが、これはまさに「夜の長い断食時間(ファスト)を終える(ブレイク)行為」なのだ。長い断食時間があると、目覚めの食事を朝食として強く認識し、1日のリズムが整いやすくなる。

★時差ボケは機内で解消

 同じ食事内容でも、時間を意識した食事をすることで、肥満などを防ぐことができる。こうした考えから生まれたのが「時間栄養学」で、時差ボケの早期解消にも役立てることができる。

「海外へ行く飛行機では、機内食が出るのが基本ですが、現地の朝食時間帯に合わせて機内食を食べることで、時差ボケが解消しやすくなります。例えば、ハワイの場合は時差が19時間(日本時間−19時間=ハワイ時間)ありますが、飛行機に乗った段階で向こうの時間に合わせると、対応しやすくなります。仮に20時に出発だとしたら、その時点でハワイは深夜2時なので、ハワイ時間で深夜2〜4時台の機内食はパスし、それ以降の『ハワイの朝の時間帯』の機内食を朝食として食べるようにすると、ハワイに到着したあとの時差ボケも軽減されます」(古谷先生)

 年末年始に海外旅行を予定している人も多いと思われるが、時差ボケが続くと、せっかくの旅行が台なしになってしまう。「食べる時間」を意識して、海外旅行を有意義なものにしよう。

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監修/古谷彰子先生
理学博士。栄養士。chronomanage代表。早稲田大学等で約10年間、体内時計と食に関する研究に従事。著書に『食べる時間を変えれば健康になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある他、雑誌や書籍での献立提供、講演活動等で活躍。

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