「調子が整えば出るというスタンス」
1月5日、ハンマー投げのアテネ五輪金メダリスト、室伏広治が、今夏のリオ五輪に向けたスケジュールを聞かれ、そう答えた。室伏は昨年、大会に出場していない。練習は続けているそうだが、6月に日本オリンピック委員会(JOC)の理事に選出され、現在は裏方業にも追われている。
だが、前回のロンドン五輪でも銅メダルを獲得。国内では後輩の追随も許しておらず、本人が「リオも出る!」と決めれば、5大会連続出場は間違いないところ。
「室伏が世界と戦った最後の記録は、'13年8月の世界陸上モスクワ大会で、78メートル強を投げ6位入賞でした。しかし、その後の2大会では73メートル台に終わっており、リオでメダルを狙うとすれば、モスクワ大会以上の記録が求められます」(ベテラン記者)
室伏には東京五輪・パラリンピック組織委員会スポーツディレクターの肩書きのほか、東京医科歯科大教授としての仕事もこなしている。人望があるからだが、競技に専念できないほど多忙なのも事実だ。
「昨年12月、室伏はIOC選手委員会理事に立候補しました。北京五輪時には理事当選を果たしながら、無効になった経緯もあるので、なんとしても受かりたいはず。室伏が本当に目指しているのは、リオ五輪ではなく、IOC理事職のほうなのでは」(同)
リオ五輪でメダルを狙うとなれば、41歳という年齢とも戦わなければならない。リオで“敗北”を喫するより、このまま理事職に専念すれば、陸上界のカリスマとして強い発言権を持ち続けることも可能だ。
「体調よりも、リオでの勝算があるか否かで去就が決まる」(関係者)
リオ五輪の最終選考会は、6月の全日本選手権。そこに“超人・室伏”の名前はあるのだろうか。