「コントロールが甘くなったと言っていいでしょう。ここまで21個の四球を出しており、与四球リーグワーストの中日・カブレラは22個。昨季全般で藤浪が与えた四球は44個だから、昨季の半分を開幕1カ月で与えてしまった計算です」(プロ野球解説者)
投手出身のプロ野球解説者も首を傾げていた。昨秋キャンプで着手した投球フォームの改造による影響もないとは言えないが、不振の真相は『藤浪自身』にあるらしい。
「首脳陣は藤浪を大人扱いするようになりました。ここまで藤浪を3連戦のもっとも大切な初戦で使ってきたのもそうですが、キャンプ初日から自己調整を認めてきました」(NPB関係者)
一般論として、ルーキーイヤーに活躍した新人が2年目に潰れるのは“調整の失敗”が多い。これまで「やれ!」と“命令”された練習をこなし、途中で手抜きもできないように担当コーチが目を光らせる。対戦チームの研究も大きいが、首脳陣の監視を離れることにより、知らないうちに『甘え』も生じるというわけだ。
しかし、藤浪の場合は違う。自己調整が許されたことで、逆に「頑張らなければ…」とオーバーワークになってしまったのだ。
「阪神は計算の立つ先発投手が少ない。リリーフ陣は登板過多の傾向にあり、藤浪はその責任感から『少しでも長いイニングを投げ、皆に休んでもらいたい』と思っている」(同)
藤浪は先輩投手を立てる言動に徹している。自身を追い回す関西メディアにも配慮し、どんなに疲れているときもコメントを出す。また、大阪桐蔭高の後輩に当たる埼玉西武の森友哉捕手に対しても、メールで助言を送るなどしているそうだ。
技術的な課題は“100球”超え。昨季は新人ということでイニング数に制限が設けられていた。それが今季は解除されて張り切っていたのだが、投球数が100に近づきカウントダウンが始まると、突然乱れるのだ。連続四球で走者を溜め、ストライクを取りに行ったところをガツンとやられる…。そんなパターンが続いていた。
14年4月15日の対広島戦、和田監督は七回を乗り切った時点で非情の交代を告げた。その試合が今季初勝利となったが、藤浪から聞かれたのは反省の弁ばかりだった。ルーキーイヤーに10勝を挙げているが、いまだ完投試合はない。
プロ初完投はそう遠くないと思うが、阪神は「打ってナンボ、投げてナンボ」のチーム。藤浪よ、もっと気楽にやらなければ、気苦労で潰されてしまうゾ!