複数のライター、漫画家が参加していたが、筆者はメインライターとして怪談記事の記述を行った。
だがこの本の周辺では次々と不思議なことが起こった。
このムックの企画のひとつとして筆者と著名なホラー漫画家の先生との対談があったのだが、その当日、奇怪なことが起こった。どうも編集を担当しているNさんの顔色が悪い。
「なんかあったんじゃないの?顔色が変だよ」
と筆者がしつこく聞くと、自分の周りで妙なことが連続して起こっていると説明し始めた。
「正直、信じてなかったんですが、実はこんな事が…」
なんと、数日前にNさんのご身内が朝、布団の中で変死しているのが見つかったのだ。
そればかりか表紙を担当したデザイナーさんのご身内も当日緊急手術をすることになったというのだ。
「これはやばいな、信じてない場合、報復される可能性すらある」
直感的にかなり危険な気配を察した筆者は、その漫画家の先生を見送った後、すぐその収録現場から霊能者に電話を入れ、祈祷の依頼をした。
「次は、編集のNさんに来ますね」
霊能者のこの一言ですっかり震え上がったNさんは、この手の怪談本に対して全く信じてなかった自分を恥じ、深く考え入った。
結局、Nさんへの霊の怒りは凄まじく、NさんとNさんの上司が会社を辞めることになった。Nさんは最後にこう言った。
「結局、偶然と言えば偶然ですが、怪談本が最後の仕事になりました。今後実話を取り扱う場合は要注意ですね」
Nさんはその後、転職していった。
しかし、その転職先は著者と長いつきあいのある出版社だったのだ。
「怪談本」の呪いはNさんを追跡する。
監修:山口敏太郎事務所