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野村克也と長嶋茂雄 厳戒「リハビリ闘病記」 〜スポーツジャーナリスト・吉見健明〜(1)

 凄まじい生命力だ。
 ゴールデンウイークも終盤に差し掛かった5月5日午後7時。東京・田園調布の邸宅から一人の男性が姿を現した。ノムさんこと、野村克也氏(79)である。
 野村邸の勝手口から道路までは8段の階段が設置されている。ホワイトブルーと黒のスラックスという洒落たいでたちに身を包んだこの日のノムさんは、手すりもない階段を、杖や他人の介護なしに、自分の足で下りてきたのである。確かにヨチヨチとした足取りは、かなり危なっかしい。だが、それでも自力で歩くノムさんの姿は感動的だった。

 階段を下りたノムさんは、2時間半以上前から待機していた愛車レクサスの後部座席に乗り込んだ。そのすぐ後に階段を下りてきたのがサッチーこと、沙知代夫人。こちらは真っ赤なドレス風の派手なワンピースといういつもの“らしい”服装だ。報道陣の存在を警戒するかのように、右左をジロリと見回しながら、ゆっくりと車に乗り込みノムさんの隣に座る。
 2人を乗せた車は環八から赤坂方面にゆっくりと走り去っていった−−。

 野村氏の重病説が表面化したのは昨年11月下旬のことだった。10月にTBSのレギュラー番組を休養降板した当初は病状や入院先すらはっきりしない状況の中、私はノムさんの病状を追いかけ始めた。
 取材から浮かび上がってきたのは5年前(2010年)に患った胸部の解離性大動脈瘤の再発だ。昨年10月に都内の病院で手術を行っており、一旦は退院したものの、体調が優れずに再入院までしたという。
 3月には私との連係プレーで、『フライデー』がホテルで息子の克則夫妻らと会食するノムさんをキャッチ。サッチーの肩を借りて歩く写真を掲載している。激ヤセしたその姿は、病状の深刻さをうかがわせるに十分なものだった。

 以降、ノムさんはすっかり人前から姿を隠しており、『腰痛が激しく一人では歩けない』『克則がキャンプから帰ってきて肩を貸して歩いていた』といった話が続々流れるなど、病状は予断が許せないとの情報も飛び交っていた。
 「退院後は地方の仕事は禁止となり、都内の有名ホテルをオフィス代わりにして、週に4日はここに通ってテレビや雑誌の取材などの仕事を受けていました。ただ4月になってからは自宅にいることも増えているようです」(スポーツ紙記者)

 この間、サッチーには、家のインターホン越しに何度も病状を直撃しているのだが、そのたびに「誰がそんなこと言っているのよ。ないわよ!」との返答だった。ノムさんに近い関係者がこう心配を口にする。
 「野村さんは『早期発見で助かった。今回はメスは入れてない。1カ月も入院していれば体重が減るのはしょうがない』と言っていますが、実際は大手術をしているし、齢を考えればやっぱり心配です。まだ完全に治ったわけではないし、再発の可能性もゼロではありません。しかも、かなり腰痛がひどくて一人では歩けない状態です。サッチーは、『働かないと体は弱る一方だから、どんどん仕事しなきゃ』とテレビなどの取材を入れようとしているようですが、まだ体力も完全に戻っていないし、正直、もう少し休ませてあげてほしいところなんですが…」

 こうした周囲の声もあって、私も、ノムさんはまだサッチーの肩を借りなければ一人で歩くこともできない状況なのだろうと勝手に思い込んでいた。
 それだけにこの日、独力で歩くノムさんの姿を見ることができたのは嬉しい出来事だった。その姿からは、復帰に向けた執念、生きるパワーが伝わってきた。

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